HOME10.電力・エネルギー |バイオマス発電用の燃料自給率25.7%と過去最低に。パームヤシ殻(PKS)輸入分を合わせると9.8%にまで低下。食料自給率を大きく下回る。FIT制度での見直しの必要性高まる(RIEF) |

バイオマス発電用の燃料自給率25.7%と過去最低に。パームヤシ殻(PKS)輸入分を合わせると9.8%にまで低下。食料自給率を大きく下回る。FIT制度での見直しの必要性高まる(RIEF)

2017-09-05 21:39:07

PKS4キャプチャ

 

 再生可能エネルギー分野で急増する木質バイオマス発電の燃料自給率が急低下している。大型のバイオマス発電向けブラックペレットなどの輸入が増加、2016年の木質バイオマス燃料の自給率は前年比8.3ポイント減の25.7%と過去最低に下落した。食料自給率より10ポイントも低い。さらにパームヤシ殻(PKS)輸入量も合算すると、自給率は9.8%と1割を切り、持続可能性(Sustainability)に懸念が生じている。

 

  林野庁がこのほど発表した「特用林産物生産統計調査」によると、同年の木質ペレットの国内生産量は12.0万tで、前年比0.5%(0.1万t)の微増。用途別では、燃料用としての生産が11.4万t(構成比94.5%)と、ほとんどを占めた。これに対して、同年の木質ペレットの輸入量は34万6855t(前年比49%増)と大幅に増加した。

 

 このため、木質ペレットの自給率は、前年の30%台(34.0%)から8.3ポイントも下がって25.7%と過去最低の水準になった。食料全体の自給率(カロリーベース)が38%であるのに比べても一段と低い。さらに木質ペレットの競合燃料であるPKS(パームヤシ殻)の輸入量も前年比67%増の76.1万tに急増した。

 

木質ペレットの生産量・輸入量の推移
木質ペレットの生産量・輸入量の推移

 

 輸入木質ペレットとPKSを合わせると、110万tで、合算した自給率は9.8%にまで低下する。木質バイオマス発電の燃料の国内生産量は発電量の10分の1でしかないことになる。木質ペレットの輸入先は、カナダ、ベトナムなどからが中心。PKSはインドネシア、マレーシアが中心。

PKSの輸入量の推移
PKSの輸入量の推移

 

  輸入木質ペレットは、国内の木質ペレットとは異なる。伐採した木材を無酸素状態で 200 ~ 300℃程度で熱処理する「トレ ファクション (torrefaction)」技術で、発熱量を高めるのが特徴だ。 石炭の発熱量に近づく ため 「バイオ ・ コール (バイオ石炭)」、 あるいは色が黒いことから「ブラック ・ ペレット」とも呼ばれる。

 

 一方のPKSは、パーム油を抽出する過程で発生する残渣。廃棄物でもある。しかし油分を含むため、通常の木材よりも熱量が高いので、燃料として広く活用されている。二大生産地のインドネシアとマレーシアの生産量は年間1000万tほどもある。

 

 いずれもバイオマス発電の輸入燃料となっており、現時点では安定的に供給されている。だが、グローバルにバイオマス発電が広がる中で、伐採地やプランテーション拡大による生態系破壊の懸念や、輸送過程中のCO2排出量の増大など、他の再エネ発電と同列に扱っていいのかという議論が続いている。

 

 PKSもブラックカーボンも、市況商品なので依存し過ぎると価格高騰時に、発電コスト上昇につながるリスクを負っている。現行の固定価格買い取り制度(FIT)は、こうした「輸入燃料バイオマス発電」を、国産木材の有効利用を基本とした国内産の木質バイオマス発電と同列に扱っている。だが、エネルギーの自給という点では「マイナス要因」であり、FIT制度での扱いを見直す必要がある。

 

http://www.rinya.maff.go.jp/j/press/riyou/attach/pdf/170828-1.pdf