HOME10.電力・エネルギー |フランス、国内・海外領土での新規の石油・ガスの採掘を2040年までに禁止する法案を閣議了解。マクロン政権の気候変動対策の柱に据え、世界にリーダーシップを示す(RIEF) |

フランス、国内・海外領土での新規の石油・ガスの採掘を2040年までに禁止する法案を閣議了解。マクロン政権の気候変動対策の柱に据え、世界にリーダーシップを示す(RIEF)

2017-09-07 16:20:38

furance2キャプチャ

 

 フランス政府は2040年までに国内および同国の海外領土において、石油・ガスの生産と新規探鉱をすべて禁止する方針を明らかにした。6日の閣議に法案を提出、承認された。石油・ガスなどの化石燃料生産から脱することを宣言するのは、世界でも初めて。

 

写真は、石油・ガスの探鉱禁止法案を説明するマクロン仏大統領(右)と、ユロ環境相(左))

 

 法案は来年初めにも議会に提案される。探鉱採掘権の新規付与を停止する。フランスは現在、国内・自国領土の63ヶ所で石油・ガスの採掘事業を認めている。ただ、同国・領土内での採掘量は国内消費全体の1%に過ぎない。残りはすべて輸入に依存しており、石油・ガス産業からの離脱の経済的影響は大きくない。

 

 それでも、法案が成立すれば、現在、追加で提出されている探鉱権認可申請約40件は却下される可能性がある。ただ、既存の探鉱権については事業主との契約期限があるものに限って、2040年以降も延長が認める見込み。ユロ環境相の顧問によると、この中にはフランスのトタルが権益を保有する仏領ギアナ沖の鉱区が含まれる。

 

 france1キャプチャ

 

 ユロ環境相は閣議後、この法案により「われわれは着実に化石燃料社会から解放されるだろう」と述べた。また同氏は、今後のフランスのエネルギー投資の主流は再生可能エネルギー発電向けがさらに進むことになる、との見通しを示し、「現状では石油・ガス生産は地政学的な状況に左右されている」と語った。

 

 今回の計画は、数件のコンセッション(鉱業権)契約を締結しているカナダのバーミリオン・エナジーなどの企業に影響を及ぼすとみられる。また、仏領ギアナ沖での現行の鉱区は維持されるが、新規の油田開発は難しくなる見通しだ。

 

 今回の法案決定は、マクロン仏大統領による気候変動対策の一環。パリ協定を踏まえて、「フランス発」で化石燃料社会からの離脱をリードしていく姿勢をアピールする意味もあるようだ。ユロ環境相はすでに7月に、石炭生産についても2020年までに生産を停止する方針を示している。フランスの石炭生産はエネルギー全体の5%を占める。

 

 さらに原子力発電については、オランド前政権時代に現行のエネルギー全体の75%の比率から50%への引き下げ方針を示しており、マクロン政権も踏襲する考え。原子力の50%への引き下げは2025年達成を目指している。

 

 「原子力比率の低下」、「化石燃料からの離脱」は、必然的に再生可能エネルギー発電への依存が一段と高まることを意味する。ユロ環境相は「再エネが、われわれが必要とするエネルギー需要を満たす非常に重要な役割を段階的に果たすことに絶対的な信頼を置いている」と語っている。

 

http://www.gouvernement.fr/en/climate-plan