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ローマ教皇フランシスコ、相次ぎ米大陸を襲ったハリケーンが温暖化の影響を受けていることを見ようとしない政治家の「道義的責任」に言及。念頭にはトランプ大統領(RIEF)

2017-09-13 08:05:15

popeキャプチャ

 

  コロンビアを訪問していたローマ教皇フランシスコは、米国を相次いで襲ったハリケーンが温暖化の影響で強力化したことを踏まえて「地球の温暖化を加速させる温室効果ガスを抑えるために必要な措置をとらない人々には、歴史が審判を下すだろう」と指摘。政治家も一人一人の個人も、温暖化に「道義的責任(moral responsibility)」を負うと述べた。温暖化対策を手抜きするトランプ米大統領ら、米政権の温暖化懐疑論者を念頭に批判した。

 

 教皇は、5日間にわたったコロンビア訪問からの帰途、ハリケーン・ハービー、同イルマの直撃を受けた米国、メキシコ、カリブ諸国の被災地の上空をチャーター機で視察した。その際に、気候変動とハリケーンによる洪水被害に関する記者団からの質問に答えた。

 

 「温暖化問題を否定する者は、科学者を訪ねて聞けばいい。彼らは明瞭に答えてくれる。地球の温暖化は人間活動が引き起こしていることを」。さらに、その際に科学者たちは、温暖化問題の流れを食い止めるには何をしなければならないかも明確に答えてくれるはずだ、と付け加えた。

 

コロンビアを訪問し、カソリック信者の歓迎を受ける教皇フランシスコ
コロンビアを訪問し、カソリック信者の歓迎を受ける教皇フランシスコ

 

 教皇は気候変動の影響は、貧しい人々にもっとも大きな被害をもたらすことに懸念を示し、トランプ氏を含め、本来、温暖化対策への政策的責任を負う人々がやるべきことをしないでいることに対して、あからさまに批判の言葉を発した。

 

 「もしわれわれが温室効果ガスの排出量を元(産業革命以前)に戻さなければ、われわれは温暖化の影響に屈することになるだろう。これが真実なのだ。あなた方(記者)も自分の目で気候変動の影響を目の当たりにしている。科学者は明瞭に次に起きることを指摘している」

 

 そのうえで、旧約聖書の一節をひも解いて「人間は愚かで、頑固で、盲目である」と指摘。「物事を正しく見たくない人は、何も見ないことになる」と警告した。

 

 教皇は2015年6月に、初の「温暖化回勅」を出している。「回勅」は、カトリック教会の教義の指針となる原則を集めた文書。教皇は、地球上の全ての人に向けて、人間の強欲さ、新しい技術と進歩への自滅的な執着によって、「母なる地球」が危機的な状況に陥っていると、回勅において強く非難した。

 

 教皇は、今年5月、バチカンを訪問したトランプ大統領との非公式の会談の後、この回勅を直接、大統領に手渡している。温暖化問題を生み出した責任と、それを解決する責任を第一に負うのは富裕国だと指摘した回勅に、トランプ氏が目を通したかは定かではない。だが、教皇の非難の先に浮き上がる「愚かな人間」が誰であるかは、科学者を訪ねなくてもわかる。

http://www.vaticanstate.va/content/vaticanstate/en/stato-e-governo/struttura-del-governatorato/direzioni-ed-uffici-centrali.html