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住友商事、電車のブレーキ時に生まれる「回生電力」を、地域の電動バスの電源に転用。「ゼロエミッション地域公共交通インフラ」を開発。さいたま市で来年に事業化。2020年のオリンピックでも運行(RIEF)

2017-09-13 16:06:36

saitama1キャプチャ

 

  住友商事は、電車がブレーキをかけた際に生まれる回生電力を、電動バスの電源に転用する開発・実証事業を、さいたま市で始める。埼玉高速鉄道、蓄電池を開発するエクセルギー・パワー・システムズ、早稲田大学アカデミックソリューションの各社と協力し、2018年秋に同鉄道の浦和美園駅バスターミナルで実証する。また、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催時には、各競技会場をつなぐ電動バスの電源としてネットワーク活用を展開する予定だ。

 

 電車の回生電力を、電動バスの電源にする事例は世界でもこれまで例がない。回生電力は、電車がブレーキをかけて減速制動する際に発生する電力のことで、各鉄道会社が駅の照明等に活用し始めている。ただ、これまでの利用は鉄道の駅などにとどまり、多くが未利用のままとなっている。今回の開発・実証事業では、これらの回生電力を次世代蓄電池で全量回収し、それをパンタグラフ接触式充電器によって、駅の外を運行する電動バスの電源として活用するというシステム。

 

 電動バスへの充電は5分以内で、バスが走行可能なレベルに達するという。既存のディーゼルバスによる運行と同等以上の稼働率を確保する計画だ。これによって、鉄道の余剰回生電力を無理なく電動バスの電源に転用でき、CO2排出量が全くない「ゼロエミッション地域公共交通インフラ」を整備できることになる。鉄道会社は自社のバスに提供する場合は燃料費の節約になり、他社のバス会社に販売する場合は、売電収入が入ることになる。バスはCO2排出量がゼロになるほか、電動バスなので騒音、振動も低減する。

次世代蓄電池のモデュールのイメージ
次世代蓄電池のモデュールのイメージ

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 カギになる蓄電池を開発するエクセルギー・パワー・システムズは東京大学発ベンチャー企業である。従来のEV急速充電器が30~50kWなのに対して、4倍の200~300kWを直流で急速充電できる。

 

 実証事業として稼動する電動バスは、埼玉高速鉄道の浦和美園駅からJRさいたま新都心駅の間(片道10.9km)を運航する。鉄道マニアも、鉄道で発生する電力で駆動するバスに、一度は乗ってみたくなるかもしれない。

http://www.sumitomocorp.co.jp/news/detail/id=30306