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科学技術振興機構(JST)、国際協力機構(JICA)など、日タイ共同開発の非食糧系バイオ燃料製造。来年にも実用化へ。(各紙)

2017-09-20 20:50:25

Thai1キャプチャ

 

 国際協力機構(JICA)、科学技術振興機構(JST)などは、タイ政府と連携し、産業技術総合研究所の葭村雄二氏らのチームが長年にわたって開発したバイオ燃料「H-FAME」の製造を10 月から現地で始める。タイはパリ協定の達成に向け、ディーゼル車へのバイオ燃料の混合比を、2026年までに10%に引き上げる計画を立てており、H-FAMEはそのニーズに応えることを目指す。

 

 

写真は、タイ科学技術研究院内に設置された高品質バイオディーゼル製造用パイロットプラント(1㌧/日規模)

 

 日刊工業新聞が伝えた。10月にタイと日本のエネルギー関連企業が提携し、タイ国内にパイロットプラントを建設する。量産化に向け、当面は1日当たり数㌧の生産規模だが、需要の増大に合わせて拡大していく方針。

 

 H-FAME(高品質バイオディーゼル、の意味)の開発は、産業技術総合研究所 創エネルギー研究部門 の葭村雄二・現名誉リサーチャーが率いる研究チームが、2010年からタイ側の国家科学技術開発庁、モンクット王工科大学ノースバンコクなどと開発を進めてきた。食用に適さないジャトロファから抽出したジャトロファオイルで製造した高品質バイオディーゼル(東アジアサミット推奨品質)を軽油に10~20%の混合が可能な水準にまでこぎつけた。

 

 H-FAMEは、従来の脂肪酸メチルエステルのバイオ燃料の欠点である、酸化や熱安定性を大幅に改善した。すでにタイの石油代替エネルギー開発計画(2015 年 2 改訂の AEDP)ではH-FAME が採択されており、2018 年以降の実用化の見通しとなっている。

 

 実用化に際しては、当初原料として想定していたジャトロファは供給見通しが立たたないことから、当面はパーム油を 原料として実用化を目指す。将来は、ジャトロファの原料化も並行して進める。

 

  H-FAMEとその生産技術は、既存の BHD、直接水素化バイオ 油燃料などの競合技術に比べて必ずしもユニークではないが、原料の多様化、混入率の増 加の面で効果があり、途上国でのニーズである「中品質・中コスト」の技術として、実用性の高さが評価されている。

 

 従来のバイオ燃料では混合率は7%が限界だったが、H-FAMEは現地でのテスト走行を実施した結果、混合率20%でも安全走行を確認されている。今後は、パイロットプラントでの製造開始に加え、8車種のピックアップトラックによる実車走行試験などを、日本とタイで連携し、市場投入に向けた取り組みを進めるという。

https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00443548