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「透明で曲げられる」太陽光電池 東北大学工学研究科が開発。自動車のフロントガラスや、携帯のディスプレイ、人の皮膚に張って発電可能に(RIEF)

2017-09-21 12:37:32

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  透明な太陽光電池が開発された。しかも曲げられるーー。開発したのは東北大学大学院工学研究科電子工学専攻の加藤俊顕准教授らのグループ。発電効率は0.7%とまだ低いが、同様の太陽光電池の中では過去最高レベル。今後、機能を高めると、自動車のフロントガラスや携帯電話のディスプレーなどのほか、透明なので人体の皮膚に張り付けて発電することも可能になるという。

 

 開発チームは加藤准教授のほか、赤間俊紀(同大学院生)、大北若菜(同大学院生)、金子俊郎教授らのグループ。成果は20日付けの英電子版科学誌サイエンティフィック・リポーツに掲載された。

 

 現在の一般的な太陽光電池は、シリコンを使っており、光を通さず、黒色だ。このため車の屋根などへの設置は始まっているが、透明なフロントガラスなどに張り付けるのは難しい。

 

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 今回、開発した電池は、透明で、原子オーダーの厚みを持つシート材料である「遷移金属ダイカルコゲナイド(TMD)」を用いることで、透明かつフレキシブルな性質を実現できた。太陽電池の構造は、従来のデバイス構造とは異なり、従来の半分となる2つの電極だけで発電できる「ショットキー構造」を導入した。これまでの構造では、4つの電極と絶縁体が必要だった。

 

  こうした電極構造の最適化を実現できたことで、従来難しかった1cm平方の基板上に太陽電池を敷き詰めることが可能となり、大面積基板上での太陽電池作製ができるようになったという。これにより実用化の展望が開けた。

 

 発電効率がさらに高まると、車の全ガラスや、住宅の窓などにも貼り付けが可能となるほか、衣服などへの応用も期待される。

https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2017/09/press20170919-02.html