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Appleが日本で再エネ電力使用100%を達成へ。300棟のビルの屋上を借りて太陽光発電を展開。電力の「都市型循環」を目指す(各紙)

2017-09-23 22:57:36

 

  各紙の報道によると、Appleは、日本国内の事業で使用する電力をすべて再生可能エネルギー発電の電力に切り替える計画であることを明らかにした。日本で都市型太陽光発電事業に取り組んでいる第二電力(大阪市中央区)とパートナーシップを組み、ビルの屋上にソーラーパネルを設置するという。Appleはすでに全世界のビジネス活動での再エネ電力化を進めており、その一環。

 

 日本での「再エネ100%化」は東洋経済オンラインが報道した。Appleは2016年9月に、事業活動の電力を100%再エネでまかなうことを目指す「RE100」に参加を表明している。その方針の実現のため、世界のApple Storeや各国のオフィス、データセンターのほか、サプライヤーや委託製造先で利用する電力も、再エネへ転換を目指している。現在の進捗率は96%。日本はこれまで遅れていた。

 

 日本での再エネ100%達成のため実施するのは、ビルの屋上にソーラーパネルを設置する事業。第二電力とのパートナーシップで、約300のビルの屋上にソーラーパネルを設置するという。Appleは再エネ電力を確保し、ビルのオーナーは売電収入を確保できる。AppleのESG担当の副社長、リサ・ジャクソン(Lisa Jackson)氏は「AppleとビルオーナーはWin-Winの関係になる」と強調している。

 

 今回のビルの「屋上借り」システムで作り出される電力は18Mwhに達する計画。この電力量は、日本に設置している同社のオフィス、研究開発拠点、リテールストアなどで用いられる電力全てをまかなうことができるという。

 

Appleの新本社ビルの屋根に敷き詰められる太陽光パネル
Appleの新本社ビルの屋根に敷き詰められる太陽光パネル

 

 Appleがビルの屋上活用に目を付けたのは、米国などと比べて、日本ではソーラーパネルを設置する広大な土地の確保が難しいため。その弱点を逆手にとって、都市の中で電力を創り出し、その電力を都市の中のAppleの拠点で消費するという「都市循環型」の再エネシステム構築を目指す。

 

 この「都市型」システムが順調に展開すると、欧米諸国などの都市にも応用できる可能性が出てくる、としている。

 

 日本での再エネ発電の確保と同時に、iPhoneの省エネ化、製造工程のCO2大幅削減にも取り組む。22日に、米国や日本を含む国々で「iPhone 8」と「iPhone 8 Plus」を発売、11月3日には「iPhone X」を発売するが、これらの最新のiPhoneは、搭載しているA11 Bionicによって省電力性能が向上する点だ。これまでとほぼ同じバッテリーで、1日中、高い処理性能や高画質の体験を楽しめるという。

 

 また各iPhoneはアルミニウムのフレームとガラスのボディのデザインに切り替えたことで、製造工程におけるCO2の排出は、iPhone 7の頃より11%減、iPhone 6と比べ86%減と、大幅な削減を達成できるという。「地球に優しいiPhone」というわけだ。

 

再エネ戦略を説明するリサ・ジャクソン副社長
再エネ戦略を説明するリサ・ジャクソン副社長

 

 Appleは自社が直接関わる事業活動だけを再エネ化するのではなく、サプライヤーや委託製造先も含めたサプライチェーン全体での「再エネ100%」を目指している。すでに、日本のサプライヤーであるイビデンは、アップル向けの製造に関して再生可能エネルギー化を進めている。ジャクソン氏は、「サプライヤーの再エネ化は大きなチャレンジ。様々な形での支援をしながら、プロジェクトを進めていきたい」と述べている。http://rief-jp.org/ct4/68271

 

 また、神奈川県横浜市に開設するAppleの研究開発センターは、アジアにおける初の「気候変動に配慮してデザインした拠点」になる。

 

 ジャクソン氏は「クリーンエネルギーは、未来のビジネスの中で象徴的な存在。米国だけでなく世界規模での気候変動への取り組みは、これまでより環境負荷が少ないだけでなく、コスト削減につながり、新しいテクノロジーや新たな製造業による雇用を生み出す。アップルはより良い製品を世に送り出すだけでなく、企業活動における気候変動への責任を示し、イニシアティブを取りながら、ビジネスを持続可能にしていくことを目指す」と宣言している。

http://toyokeizai.net/articles/-/189877