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理研、東大等の研究グループ。衣服に貼り付け、洗濯も可能な超薄型有機太陽電池を開発。ウエアラブル・センサーの電源に。エネルギー効率も従来より約2倍増(RIEF)

2017-09-25 18:46:55

rikenキャプチャ

 

  理化学研究所(理研)と東京大学、科学技術振興機構(JST)の研究グループが、「衣服に貼り付けて洗濯もできる」という有機太陽電池を開発した。センサーやマイクロチップなどを衣服に埋め込んだウエアラブル端末などの「スマートテキスタイル」の長期安定電源として活用が期待される。

 

写真は、厚さ3μmの超薄型有機太陽電池素子を貼り付けた白いワイシャツ(綿100%)を洗剤に漬けて洗っている様子)

 

 共同研究チームが開発したのは、厚さわずか1マイクロメートル(1μm、1,000分の1mm)の基板上に超薄型の有機太陽光電池を作成した。同基板はフィルムと封止膜を利用しており、曲げたり、つぶしたりしても動作する。エネルギー変換効率は7.9%を達成、これまでの柔軟性の高い有機太陽電池の効率4.2%を2倍近く改善できた。

 

 このデバイスは、全体の約50%がつぶれても安定的に駆動するという。さらに5分間、水中に浸した後でも、エネルギー変換効率はほとんど低下しない耐水性も確認された。また、あらかじめ引張させた2枚のゴムで厚さ3μmの超薄型有機太陽電池を双方向から挟むことで、伸縮性と耐水性を両立させる封止技術も開発した。ゴム封止していない場合は、120分間水に浸すと発電効率が20%低下したが、開発したゴム封止めるを使うと低下率は5%にとどまった。

 

 開発した太陽電池は、生体継続モニタリングなどに使うウェアラブルセンサーなどを駆動するための電源としの役割が期待される。通常、こうした電源には①高い環境安定性②高いエネルギー変換効率(太陽光エネルギーを電力に変換する効率)③機械的柔軟性、の3要素を同時に満たす必要があるが、今回の電池はその条件をすべて達成したと考えられている。研究成果は、英国の科学雑誌『Nature Energy』に掲載された。

 

 環境からエネルギーを取得する「エナジーハーベスト技術」とセンサーを組み合わせて、センサーをスマート化する開発が進められている。特に人体に貼り付けるウェアラブルなセンサーのスマート化によって、血圧・体温を継続的に測定・モニタリングすることで、脳梗塞や風邪などの疾患の早期発見につながる期待がある。

 

 そうしたスマートセンサーを可能にする重要なカギが、環境エネルギー電源として衣服に貼り付け可能な電源の開発であり、有機太陽電池は、ウェアラブルセンサー用電源の有力な候補に躍り出た格好だ。

 

http://www.riken.jp/pr/press/2017/20170919_2/