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フィリピン政府 女性従業員へのハイヒール着用強制を禁止指示。健康上と安全上の理由。世界最初の「ハイヒール強制労働」禁止国に名乗り。日本の「なでしこ職場」はどう?(RIEF)

2017-09-25 22:51:00

highheelキャプチャ

 

 フィリピン政府は、小売業やレストラン、ホテルなどをはじめすべての企業が、女性従業員にハイヒールを履くことを強制することを禁じる指示を出した。女性の健康上と安全上の理由からで、労働組合は「フィリピンは、女性の権利を守るためにハイヒールの強制を否定した世界初の国になった」と歓迎している。

 

 フィリピンの労働省によると、4人の女性労働者が勤務先でハイヒールの着用を強制されたことを労働組合に訴え、政府内で対応策が図られてきた。職場でハイヒールを長時間履くことで、健康面では、腰痛を起こしやすくなったり、親指が小指の方に曲がっていく「外反母趾」、あるいは足の甲の骨を痛める「中足骨痛症」などが起こりやすい。また、捻挫をしやすいなど、安全面の問題も大きい。

 

 しかし、小売業やホテルなどでは、女性によるおもてなしの雰囲気を強調させるため、ハイヒール着用が義務化されているところが少なくない。今回の労働省の新たな指示は、すべての企業は女性従業員が、実用的で履き心地のいい靴を履くことを認め、1インチ(2.5cm)以上の靴を履くよう強制してはいけない、という内容。指示は今月初めに明らかにされ、29日から実施に移行されるという。

 

 フィリピンの労働組合連合会議によると、同国では多くの産業で女性労働者のハイヒール着用が広がっている。特に、小売業、レストランなどの飲食業、航空会社、ホテル等ではほぼ義務化されているという。小売業では約100万人の女性従業員が今回の労働省の政策変更指示によって、「窮屈なハイヒール」から解放される。

 

 同連合会議のlan Tanjusay氏は「今回の措置は、女性を性差別政策から解放し、非健康で危険な労働条件の拘束から解放することにつながる」と歓迎している。「ハイヒール禁止令」は、今年4月にカナダのブリティッシュ・コロンビア州が実施しており、国レベルでの禁止令はフィリピンが初めてとなる。

 

 日本でも、ハイヒール着用の「強制労働」で泣いている女性従業員は少なくないのではないか。「女性のおもてなし」をアピールするつもりのハイヒールが、「なでしこ職場」での女性に強制労働を強いているとすれば、日本企業のCSRも、ESGも、根本から見直す必要があるかもしれない。

http://news.trust.org/item/20170925113933-m01vy/