不動産のサステナビリティをグローバル評価するGRESB。2017年の結果公表。過去最多の850の不動産会社・ファンド参加。平均スコア上昇し63に。日本はJ-REITで市場標準化（RIEF）
2017-09-26 21:44:32
不動産やインフラストラクチャー等の実物資産のESGパフォーマンスを評価するGRESB（グローバル不動産サステナビリティ・ベンチマーク）は、2017年の評価結果を公表した。グローバルでは過去最多の850の不動産会社・ファンドが参加、その保有資産総額は3兆7000億㌦（約407兆円）に達した。総合スコアの平均値は前年より3ポイント向上し、63になった。日本からの参加は前年より7社増え、53社。このうちJ-REIT市場の参加率は85%と高く、市場標準化している。
GRESBは不動産セクターの環境、社会、ガバナンス（ESG）パフォーマンスを業界主導で評価する活動。2009年に欧州の主要年金基金等を中心にして立ち上がった。年金や銀行等が不動産セクターへの投資をする際、GRESBデータを活用することを目指している。現在、GRESBデータを活用する投資家・銀行はグローバルに約60社（運用資産額17兆㌦）に達している。日本からは日本政策投資銀行が参加しているほか、日本国内の公式サポーターとして、不動産証券化協会（ARES）と日本サステナブル建築協会（JSBC）が加わっている。
2017年は調査に参加した不動産会社・ファンドは過去最多の850社だったほか、保有資産の対象国も62ヶ国で物件数77,000件と拡大した。地域別では、欧州が433社と最も多く、次いで米国204社、アジア124社、オーストラリア66社となっている。
評価は、マネジメント、政策・情報開示、リスク・オポチュニティ、モニタリング・EMSなどの各項目ごとに評価・配点し、総合スコアを出す。2017年の平均スコアでは、上場参加者が非上場参加者を、セクター別ではオフィス部門が他用途部門を上回った。オフィス供給を中心とした上場会社・ファンドのESG対応が進んでいることを示す。
参加者のESGパフォーマンスは、前年比で着実に改善した。全体で、 エネルギー消費量は1.1％削減、 温室効果ガス（GHG）排出量は2.2％削減、 水消費量は0.5％弱削減、 廃棄物の埋立回避（リサイクル等）は52.9％に上昇した。
グローバル不動産セクターのエネルギー消費量削減率は、国連の持続可能な開発目標（SDGs）での削減目標の水準を満たしている。
2017年は、ESG に関する開示情報のみを元に評価を行う「GRESB 開示評価（GRESB Public Disclosure）」 が開始され、FTSE／EPRA／NAREIT Developed Index の構 成銘柄など、グローバルで 450 以上の上場不動産会社・ファンドが対象となった。日本からは、 「リアルエステート評価」に未参加の大手デベロッパー各社なども評価を受けた。
また昨年から「リアルエステート評価」の付属オプションとしてスタートした「健康と福祉モジュール」には、昨年は日本勢は参加者ゼロだったが、今年は複数社が参加した。 グローバルで 252（昨年は 174）に増加した。
同じく昨年から始まった 「GRESB インフラストラクチャー評価」にも、日本からインフラ・ファンド 1 社が初 参加した。（グローバルでは 64 ファンドが参加）
GRESBの共同創設者でマネージング・ディレクターのSander Paul van Tongeren氏は「スタート以来、8年連続で参加者が増加し、参加者のエネルギー、GHG、水の消費量が着実に削減していることは、大変望ましい。参加者の取組みが不動産業界全体のサステナビリティ・パフォーマンスを推進する好例となることを期待している」と手応えを語っている。
Green Business Certification Inc.（グリーンビジネス認証協会（GBCI））のCEO、Mahesh Ramanujam氏も「GRESBの評価も8年目を迎え、参加者はより質の高いデータの提供と、パフォーマンスにおいて大きな成果を出すことにコミットしている。GBCIは業界変革のさらなる可能性を広げるため、引き続きGERSBを支援していく」と述べている。
Research Institute for Environmental Finance