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政府・東電、福島第一原発からの使用済み核燃料取り出し、2023年度に再び先送り。安倍首相が自賛した「アンダー・コントロール」状態には程遠いことを立証(各紙)

2017-09-27 10:49:10

fukushima5キャプチャ

 

 政府・東京電力は26日、東京電力福島第一原発の事故収束に向けた中長期ロードマップ(工程表)を改定し、原発1、2号機のプールに保管したままの使用済み核燃料の取り出し開始を、現行の計画より3年遅らせて、2023年度に先送りした。安倍首相が東京オリンピック開催の理由とした「原発はアンダーコントロールしている」という国際公約の状態とは程遠いことが改めて確認された。

 

 

 2011年12月に策定された工程表の改定は、今回で4回目。東電は使用済み核燃料取り出し開始時期の再延期について、対象となる1号機の原子炉上部の放射線を遮る巨大なフタ(重さ500㌧超)が崩落しているなどで、両号機とも作業員の被ばく低減に向けた工事に時間がかかるため、という。

 

 22日退任した原子力規制委員会の田中俊一委員長は「プールからの燃料取り出しを果たせなかったのが心残り」と述べていた。1号機のフタの隙間からは毎時400mmシーベルト超の高い放射線が外部に放出されている。周辺には今も、放射性物資の線量が多い大量のがれきが積もったままだ。

 

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 福島原発の廃炉に向けた「中長期ロードマップ(廃炉工程表)」は、この日、開いた政府の廃炉・汚染水対策関係閣僚会議(議長・菅義偉官房長官)の場で決めた。ロードマップの改訂は、2015年6月以来、約2年ぶり。燃料取り出し時期を3年先送りしたが、全体で30~40年かかる廃炉工程の大枠は維持した。

 

 事故を起こした1号機の使用済み燃料プールには392体、2号機には615体、3号機には566体の核燃料が事故以来、眠ったままとなっている。1号機は原子炉建屋最上部で水素爆発を起こし、その影響で崩れたがれきが堆積しており、また放射線量も高い状態が続いている。原子炉内の燃料も溶融して圧力容器から漏洩、格納容器の地下に浸み出ている可能性がある。

 

 原子炉建屋が損壊せずに残っている2号機も、内部の放射性物質の濃度が高く、プールからの燃料取り出し作業をする前に、除染などに時間がかかることが確実な情勢だ。これらの現場の困難さを踏まえて、燃料取り出し時期を、3年遅らせる計画を「現実的」として変更した。

 

 もう一つの3号機については、2017年度としていた前回の計画を今年2月に18年度中ごろに延期したため、今回の改訂ではそれを維持した。

 

 燃料プールだけではない。今年に入って、1~3号機では、原子炉格納容器内に溶け落ちた核燃料(デブリ)の状況を把握するためのロボット調査を行ったものの、デブリが格納容器の底をどの程度、突き抜けているのかなどの詳細な状況は一部しか分かっていない。

 

 デブリについては、2021年内に1~3号機のいずれかで取り出し作業を開始する計画は維持した。だが、ロボット調査でも十分にデブリの状態を把握できていない。また、核燃料と溶け落ちたコンクリートや金属類が混ざり合ったデブリの取り出し方法の決定も容易ではない。具体的な工法の決定は、当初の2018年度上半期から19年度に遅らせた。

 

 格納容器の横から穴を開け、水を張らずに作業する「気中工法」を進め、圧力容器内のデブリは、上方からの取り出しを目指す案が有力だが、デブリの全体像をいまだに把握できておらず、作業ができるかどうか不明な状態だ。デブリの状態によっては、旧ソ連のチェルノブイリ原発事故と同様に、石棺状態にして長期現場保管する選択肢も有力とされる。

 

 http://www.tepco.co.jp/press/release/2017/1456608_8706.html