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「アッシジの聖フランシスコ」の名において、世界40以上のカソリック教会・団体が化石燃料関連の資産運用を引き揚げるDivestment宣言。同教会系では過去最大の参加規模(RIEF)

2017-10-03 18:53:06

 

 世界の40以上のカソリック教会・団体が、4日の「アッシジの聖フランシスコ」の記念日に合わせて、化石燃料関連の資産運用を引き揚げるDivestmentを宣言した。divestment資金額は公表されていないが、参加団体規模はこれまでのカソリック教会の集団行動よりも4倍以上も多い。

 

 聖フランシスコは、13世紀のイタリアの聖人で、世界平和やエコロジーの守護聖人として知られている。現在のローマ教皇のフランシスコも聖フランシスコの名を受け継いでいる。4日はその聖フランシスコの命日だ。

 

 40の団体の中には、バチカンの南アフリカ教区や、ベルギーのエピスコパル派(聖公会会議)、聖フランシスコの生誕の地として知られるアッシジのAssisi-Nocera Umbra-Gualdo Tadino教会なども参加した。45億ユーロの試算を運用するドイツのGerman Church bankのスポークスマンは、Divestmentの対象は石炭、タールサンド、シェールオイルを含む、と説明している。

 

現存する最古のフランシスコ像(イタリア・スビアーコの聖窟のインフェリオーレ教会)
現存する最古のフランシスコ像(イタリア・スビアーコの聖窟のインフェリオーレ教会)

 

 カソリック教会はフランシス教皇が2015年6月に、温暖化による異常な気象変動によって世界が破壊されるのを阻止する行動を世界に呼びかける「温暖化の回勅」を公表して以来、「Global Catholic Climate Movement(GCCM)」を組織、グローバルな活動をしている。GCCMには日本からも「聖コロンバン会日本」が加わっている。

 

 国連気候変動枠組み条約締約国会議(UNFCCC)の前事務局長のChristiana Figueres氏は「すばらしい。カソリック団体の賛同のような行動を、もっと多くのリーダーたちがとることを期待したい。この(Divestmentの)決断は、すべての人にとってのよりよい未来の実現につながり、同義的にも不可欠なもので、スマートな金融的判断となる」と賞賛している。

 

 カソリック団体は今年5月にも、先進7カ国会議(G7)に先立って、ニューヨークで開いた気候変動行動に際して、9教会・団体が教皇の回勅を実践するDivestment宣言を行っている。宣言した団体は、米、英、イタリア等と各国に及んでいる。今回の宣言は、その時よりも4倍も参加団体が多いことになる。世界で展開されるDivestment運動の宣言資産額は5兆5000億㌦(約620兆円)に及ぶとされている。

 

 franchesko3キャプチャ

 

 イタリアのアッシジ市長のStefania Proietti氏は、気候変動対策を専攻する学者として知られる。今回の聖フランシスコ記念日でのDivestment宣言について次にように語っている。

 

 「われわれが環境問題に目を向ける時、まず貧しい人に目を向けねばならない。気候変動の影響は最初にそうした人々に及ぶからだ。化石燃料関連への投資行動は社会正義からもっともはずれる。逆にそうした投資を引き揚げ、再生可能エネルギー等に投資することは、持続可能な新しい経済的取り組みとなり、さらに重要なことは、貧しい人を助けることにつながる」。

 

 カソリックやプロテスタントなど、キリスト教団体の温暖化対応への活動は活発だ。だが、日本の仏教界などからは気候変動対策やDivestmentの動きは、ほとんど聞かれない。俗世の持続可能性が保てないと、宗教も持続可能ではないはず。各宗教団体とも、膨大な資産を運用していると思われるが、信者の未来を見つめているのだろうか。

 

https://catholicclimatemovement.global/introduction/