HOME10.電力・エネルギー |国際エネルギー機関(IEA) 世界の再エネ発電容量、2022年には現在より43%増の3000GW台に突入。中国が主導、日本は逆に伸び率鈍化。日中の政策の差鮮明に(各紙) |

国際エネルギー機関(IEA) 世界の再エネ発電容量、2022年には現在より43%増の3000GW台に突入。中国が主導、日本は逆に伸び率鈍化。日中の政策の差鮮明に(各紙)

2017-10-04 14:56:06

Chinaキャプチャ

 

   国際エネルギー機関(IEA)は4日、太陽光や風力、水力などの再生可能エネルギーのグローバルな発電容量は、2022年に2016年比43%増の3056GWと初の3000GW台に乗せるとの見通しを示した。また16年の太陽光発電の導入量は、初めて石炭火力を上回った。太陽光発電は設備コストが急低下し、中国を中心に導入が広がっている。ただ、日本では固定価格買い取り制度(FIT)の買い取り価格引下げなどの影響で、伸び率は世界全体の半分強の27%増にとどまる見通し。

 

 IEAの見通しは再エネ発電の動向を展望する「Renewables 2017」の中で公表された。2020年までの新規に追加される再エネ発電容量は920GW。足元でも再エネ発電は、16年に導入された新規発電容量の3分の2を占め、165GWだった。このうち、太陽光発電容量は石炭火力の化石燃料発電容量を初めて上回った。

 

 日本の2022年の再エネ発電容量は、27%増の125GWで世界全体の4%程度になると予測した。IEAは日本の伸びが鈍化するのは、FIT制度の見直しによって、電力会社による太陽光発電の買い取り価格が引き下げられたことなどの要因を指摘した。日本政府による「政策リスク」の顕在化を認めた形だ。

 

 IEAの事務局長のFatih Birol氏は、「2020年までにグローバルには、再エネ発電容量は全体で約1000GW増加するだろう。これは現在世界中にある石炭火力発電の半分と同じだ。石炭火力は約80年かかって、グローバルに展開したが、再エネははるかに短い期間で急速に普及が進んでいる。特に太陽光発電については、われわれは 『新しい時代の誕生』を目撃している」と語っている。

 

 5年後の2022年だけでなく、足元の勢いも明瞭だ。16年の世界全体の再エネ発電容量は、前年15年に比べ1.5倍に拡大した。再エネ発電容量が増大するのは、発電コストが急激に低下していることが大きい。最近では、サウジアラビアが計画する太陽光発電事業への応札では、1kWh当たりで2㌣を切る提示があった。http://rief-jp.org/ct6/73284

 

 IEA2017キャプチャ

 

 日本とは対照的に、政府が再エネ導入に力を入れているのが、中国だ。22年時点の中国の再エネ発電容量は16年比64%増と世界平均を20%ポイント以上も上回り、発電容量全体でも世界トップの座を維持するとみられる。

 

 世界全体の太陽光の16年の発電容量のうち中国での導入が半分を占めた。中国の太陽光発電の増大量は、日本の全電力容量とほぼ同じ規模のスケールだ。中国では新疆ウィグル自治区などの砂漠地帯に広大なギガソーラーを開発、上海などの電力需要地に高圧直流方式で送電する電力網全体の改革も同時に進めている。

 

 一方、風力発電は、15年が中国市場で急成長した反動で、16年の伸び率は鈍化した。

 

 再エネ導入全体で中国に続く2位は米国、3位はインド。米国はトランプ政権が温暖化対策には後ろ向きだが、州レベルでは再エネ投資が地域おこし、雇用対策の要素も受けて、着実に伸びている。米国では太陽光発電だけでなく、風力発電への投資も伸びている。インドはモディ政権が再エネ発電に力を入れており、22年までのインドの発電容量の増加幅は、欧州連合(EU)全体の増加幅を上回るという。

 

力を入れているのが、中国だ。22年時点の中国の再エネ発電容量は16年比64%増と世界平均を20%ポイント以上も上回り、発電容量全体でも世界トップの座を維持するとみられる。

 

 世界全体の太陽光の16年の発電容量は前年比50%増と急増し、740GWになった。このうち中 国での導入が半分を占めた。中国の太陽光発電の増大量は、日本の全電力容量とほぼ同じ規模だ。中国では新疆ウィグル自治区などの砂漠地帯に広大なギガソーラーを開発、上海などの電力需要地に高圧直流方式で送電する電力網全体の改革も同時に進めている。

 

http://www.iea.org/bookshop/761-Market_Report_Series:_Renewables_2017