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今年の太陽光関連倒産、すでに昨年の水準を突破。68件に。3年連続で倒産最多記録更新。FIT制度見直しで市場環境の悪化続く。東京商工リサーチ調べ(RIEF)

2017-10-15 22:04:59

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  東京商工リサーチは、2017年1-9月までの「太陽光関連事業者」の倒産が68件(前年同期比61.9%増)に達し、過去最多だった昨年(1-12月)の65件を上回った。2015年から3年連続での倒産最多記録を更新した。政府の固定価格買取制度(FIT)の再三にわたる見直しで市場悪化の環境が続いていることを示している。

 

 同社が調査を開始した2000年以降、倒産件数の年間最多は2016年の65件だった。今年は1-9月までの9カ月間で68件となり、早くも最多記録を更新した。このペースで推移すると、今年は年間90件に達する可能性もあるという。

 


 9月までの負債総額は215億6,300万円(前年同期比16.5%増)。負債総額では昨年の242億4,100万円にまだ追い付いていない。2017年は負債1億円未満が35件(前年同期20件)と小口倒産を中心にしており、件数の増加ほど負債は膨らんでいない。ただ、今後、倒産件数が増えてくると、負債総額でも過去最高になる可能性もある。

 

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 負債額別では、1億円以上5億円未満が最多で26件(構成比38.2%)。次いで、5千万円以上1億円未満の18件(同26.4%)、1千万円以上5千万円未満の17件(同25.0%)の順。

 


 昨年1-9月では、負債1億円未満が20件(同47.6%)。これに対して、今年の同期は35件(同51.4%)で、構成比は3.8ポイント上昇した。また、負債10億円以上も前年同期の2件から5件へ増えている。同社は「太陽光関連事業者の倒産は事業規模を問わず幅広く発生している」と指摘している。

 

 倒産原因では、最多は「販売不振」が34件(構成比50.0%)で前年同期の21件から急増、全体の半数を占めた。次いで、「事業上の失敗」8件(同11.7%)、「運転資金の欠乏」と「既往のシワ寄せ」が各5件(同7.3%)。前年同期にはなかった「売掛金回収難」も4件(同5.8%)あった。

 

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 一方、「運転資金の欠乏」は前年同期の6件から5件へ、「金利負担の増加」は1件からゼロへそれぞれ減少した。太陽光関連事業を含め、金融機関が与信を絞っている状況にはなっていないことを示している。

 

 倒産原因のうち、「既往のシワ寄せ」、「販売不振」、「売掛金回収難」の3つの原因を合わせた『不況型倒産』は43件(同63.2%)に達し、前年同期の24件(同57.1%)より6.1ポイント増えた。


 これらから同社では、太陽光発電市場は資金調達の問題よりも、FIT制度の相次ぐ変質による市場環境の悪化が、経営力の脆弱な企業の行き詰まりを頻発させている、とみている。

http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20171006_01.html