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衆院選挙での各政党の気候変動エネルギー政策の公約はどうなっている? 温暖化NGOの気候ネットワーク(KIKO)が各党マニュフェストを分析比較(RIEF)

2017-10-12 12:51:12

kiko1キャプチャ

 

  温暖化問題のNGO、気候ネットワーク(KIKO)は、22日の衆院選挙の投票に向けて、各政党の気候変動政策、環境政策についての各政党の政策内容を比較検証した。政党の選挙公約(マニフェスト・政策)をもとに、パリ協定への対応や原発、石炭火力、再生可能エネルギー政策等への取り組み姿勢を分析・評価し、独自評価でスコアリング、公表した。

 

 KIKOでは、今回の選挙が、政局的な部分にフォーカスされ、パリ協定発効後、国内では初めての国政選挙となるにもかかわらず、争点としての気候変動対策などがほとんど話題になっていない点に危惧を示している。そこで、独自に公約の分析を実施した、としている。

 

 まず、地球温暖化、気候変動問題に対する政策全体の傾向と、各党の方向性として、現在の自公政権下では、パリ協定の目標の実現に向けた世界の潮流に逆行する政策をとっていると批判。「エネルギー政策」において石炭火力発電所を推進するとともに、こうした政策に基づき国内で46基もの石炭火力発電所の新規建設計画を容認してきた点を、その理由としている。

 

 KIKOはこうした日本の現状の政策対応から脱するには、パリ協定を遵守し、脱炭素社会に向けて野心的な目標を掲げるとともに、脱石炭・脱化石燃料の方向性を強く打ち出す政策転換が必要と指摘している。こうした視点から、各党のマニフェストをパリ協定の遵守と法文化、野心的な温室効果ガス削減目標の設定、脱石炭火力発電の推進、再生可能エネルギーの導入と野心的目標の設定、脱原発の実現の5つの点から判断し、総合得点を算出した。

 

 採点は、全体で40点満点。だが、最高のスコアを得た政党でも10点と、総じて低い点数だった。その最高点10点の政党は、再エネの導入に野心的目標を掲げるとともに脱原発を示した日本共産党と社会民主党、それにパリ協定に言及した立憲民主党の3党だった。

 

 環境大臣を務めたこともある小池百合子都知事が代表の希望の党は、わずかに遅れて9点。公明党は現状追認であるが原発の新増設を認めず原発ゼロを目指すとして7点。日本維新の会は6点、自由民主党は最低の3点だった。

 

 また各党のマニフェストでパリ協定について記述があったのは、自民党、公明党、立憲民主党の3党だけ。このうち、自民党は「パリ協定の実施に貢献する」とし、政府目標に言及している。公明党も与党の立場で、これまでの政府の立場を説明する内容で、パリ協定発効後の政策強化については言及していない、と分析している。

 

 立憲民主は「パリ協定に基づく地球温暖化対策の推進」と協定に言及しているものの、具体的な対策の内容までは踏み込んでいない。希望、共産党、維新の会、社会民主党、日本のこころの5党はいずれも「パリ協定」に関する記述はなかった。

 

石炭火力発電については、自民党と公明党が「火力発電の高効率化」を掲げ、石炭火力新設を容認する姿勢を示している。その他の党では石炭火力に関する記述はない。社会民主党は、「2050年再生可能エネルギー100%を目指す」として、石炭火力、原発からの脱却を示している。

 

 原発について、自民党は「重要なベースロード電源とする」と原発重視の姿勢を維持している。公明党は「新設は認めず」の立場で、具体的な年数は示さないが「原発ゼロを目指す」とした。希望は「2030年までに原発ゼロ」を掲げた。共産党は原発ゼロで再稼動も認めない方針を示し、維新は「既設原発は市場競争に敗れ、フェードアウト」としながら、次世代原子炉の研究開発は進めるとしている。立憲民主党は「一日も早い原発ゼロ」をうたうが具体的な期限は示していない。社会民主党も「原発ゼロ」「早期実現」を掲げたが、時期は明示していない。

 

 KIKOは「この分析は気候変動対策・政策に関して評価するものであり、特定の政党・候補者を応援したり支持したりするものではない」と説明している。

http://www.kikonet.org/wp/wp-content/uploads/2017/10/21c9a23e5aa8bd4aa95facae23bfd115.pdf