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独立行政法人「鉄道・運輸機構」 環境省ガイドラインで国内限定「グリーンボンド」発行。モデル事業認定の補助金を得るため、既存の発行計画分を転用(RIEF)

2017-10-13 00:09:51

soutetsu1キャプチャ

 

  鉄道建設の公益事業体である独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構(JRTT)は、「神奈川東部方面線」(相鉄・JR直通線及び相鉄・東急直通線)の建設資金の一部を、グリーンボンド発行で調達すると発表した。環境省の制定する国内用グリーンボンドガイドラインのモデル創出事業の採択を受け、公益事業体だが国から補助金のメリットを得る。JRTTは定期発行している債券の一部を補助金付き債券に切り替える形だ。

 

 JRTTは日本鉄道建設公団等が行政改革で、2013年に統合されて誕生した。翌2004年以降、資金調達のため機構債券を定期発行している。今年度も2490億円を調達する計画だ。このうち、11月発行分(第109回債)について、環境省が国内用のグリーンボンドガイドラインの普及のために補助金を支給することから、グリーンボンドに切り替えた。

 

 調達資金の使途対象となる神奈川東部方面線建設事業のうち、相鉄・JR直通線は、相鉄本線西谷駅からJR東日本東海道貨物線横浜羽沢駅付近までの連絡線(約2.7km)を新設し、相鉄線とJR線が相互直通運転を行う。もう一つの相鉄・東急直通線は、JR東日本東海道貨物線横浜羽沢駅付近から東急東横線日吉駅までの連絡線(約10.0km)を新設し、相鉄線と東急線を相互直通運転とする。

 

 JRTTはこれらの連絡線の建設によって、バスや自動車から同路線に旅客が転移し、CO2及びNOXの排出量削減が見込まれるとしている。CO2の削減量は年間約1,800㌧、NOX削減量は同約18㌧と説明している。

 

 環境省のグリーンボンドガイドラインは、国際的な基準であるグリーンボンド原則(GBP)よりも緩やかな条件でボンドの発行を認める。国際的なGBPでも鉄道の電化はグリーンボンドの対象プロジェクトに位置付けられているが、JRTTは国際基準よりも、補助金付きを得られる国内版への準拠を選択したとみられる。

 

 ただ、同事業の連絡線整備は、CO2削減のためというよりも、本来は、相互直通運転によって横浜市西部および神奈川県央部と東京都心部を直結する広域鉄道ネットワークを形成するのが目的。結果としてCO2も減るとの算定だ。

 

 また、連絡線のうち相鉄・東急直通線の新綱島駅建設工事を巡っては、古くから現地にある綱島温泉の泉源への影響が問題になり、住民の反対運動も起きた経緯もある。決して環境に配慮したグリーン事業と言い切れるわけでもなさそうだ。

 

 同事業が環境省のガイドラインに適合しているかどうかの確認作業は、イー・アンド・イーソリューションズが請負事業者となり、日本格付研究所、Sustainalyticsの両社が協力して履行するとしている。

 

http://www.jrtt.go.jp/08-2Press/pdf/h29/IR_press20171010.pdf

 

 

 

 

http://mirai-report.com/blog-entry-1285.html