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仙台市、石炭火力建設抑制のため、独自の行政指導指針策定へ。事業者の建設自粛を求める手続きを整備。国の「無策」に対抗(RIEF)

2017-10-18 15:43:52

sendaiキャプチャ

 

 仙台市は、仙台港周辺で石炭火力発電所建設が相次いでいることを受け、16日の市環境影響評価審査会で、市内へのさらなる石炭火力建設の自粛を強く求める行政指導指針を定める方針を明らかにした。石炭火力に絞った指針の策定は全国初めてとなる。


 仙台市には、2015年に関西電力と伊藤忠エネクスによる仙台パワーステーション(仙台PS)が石炭火力の建設を計画し、今年10月1日に営業運転開始にこぎつけている。また今年に入って、同じ地域に四国電力と住友商事が仙台高松発電所(仮)建設計画を公表。同計画は現在、市の環境アセスメント手続き中だ。

 

 市内に石炭火力が乱立する事態を懸念した仙台市は、2016年5月に条例に基づく環境アセスメントの対象を3万kW以上の火力発電に拡大、今年5月には石炭火力についてのみ規模要件を撤廃し、すべての石炭火力をアセスメントの対象に加えた。さらに6月には当時の奥山市長が経産省と環境省に対して、建設に歯止めをかける仕組みを構築するよう直談判した。

 

 今年8月に誕生した郡和子新市長は、就任直後に仙台PS周辺の環境影響調査を指示した。今回の指針策定は、さらに一歩踏み出したことになる。報道では、市は指針に基づき、建設を検討する事業者に自粛を要請する。それでも検討を続ける事業者には、市条例に基づく環境アセスメントの手続きに入る前の段階で、環境影響を考慮した複数の計画案作成と自主アセス実施を要望し、説明会開催や市民意見聴取も求めるという流れ。

 


 立地規制ではなく自粛要請とする理由について、仙台市は「(石炭火力建設を許容している)国の法律に合致した立地計画を規制するのは難しい。しかし、任意の制度とすることで事業者の姿勢が厳しく問われることになる」(樋口千恵環境共生課)長と説明している。企業の社会的責任(CSR)意識が問われることになる。

 


 市は指針によって建設自粛を求める理由として、市民から不安の声が出ていることを挙げた。 市は今後、より詳細な指針案を審査会や市議会に諮り、早期策定を目指すとしている。

 

 こうした仙台市の姿勢に対して、環境NGOの気候変動ネットワーク(KIKO)は、「石炭火力を明確に拒否する意思を示したものであり、住民の健康と環境を守る極めて重要な方針だ。石炭火力が及ぼす悪影響を鑑みれば、いかなる計画も容認されるべきではない。他の自治体は仙台市に続いて、計画反対の姿勢を打ち出すべき」との声明を公表した。

 

 仙台港での相次ぐ石炭火力計画をめぐっては、地元住民らによる「仙台港の石炭火力発電所建設問題を考える会」を中心に、大気汚染の悪化による健康被害増や生態系への影響、気候変動の影響などを懸念する住民が反対運動を展開。仙台PSに対しては約48,000筆の反対署名を元に、今年9月27日には操業差止め訴訟が提起されている。

 

 仙台市に隣接する多賀城市、塩釜市、七ヶ浜町の3市町でも同様の反対グループが結成されている。また、仙台高松の環境アセスメントには386件の意見が提出されている。

 

http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201710/20171017_11008.html

http://www.kikonet.org/info/press-release/2017-10-17/sendai_coalregulation