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フィジー共和国 途上国初の「グリーンボンド国債」発行。国際基準のGBPに適合(RIEF)

2017-10-18 16:57:55

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 フィジー共和国が、途上国として初めてとなるグリーンボンド国債を発行する。

 

 発行額は1億フィジードル(約5000万㌦)。調達資金は、気候変動によって海面上昇とのリスクにさらされている同国の適応対策等に充当する予定。

 

写真は、同国の重要な輸出品である「フィジー・ウォーター」)

 

 フィジーは来月にドイツ・ベルリンで開く国連気候変動枠組み条約第23回締約国会議(COP23)の議長国を務める。首相のジョサイア・ヴォランゲ・バイニマラマ氏は気候変動に直面している島嶼諸国の代表として、パリ協定のモメンタムを持続させることを最優先に置いており、自らの決意の表れとしてグリーンボンド発行に踏み切る形だ。

 

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 発行されるグリーンボンド国債は、5年もの(償還期日2022年11月)と13年もの(2030年11月)の2本。クーポンレートは5年ものが4.00%、13年ものが6.30%。資金使途は、気候変動に対応する適応事業のほか、100%再生可能エネルギー発電を目指し、2030年までにエネルギー部門のCO2を現行より30%削減する事業等に投じる。

 

 初のグリーンボンド発行は、オーストラリア政府が同国に対して提供している資本市場育成事業の枠組みの中で取り組まれた。発行に関した技術的な側面については、同国の中央銀行であるフィジーリザーブバンクが、世界銀行と国際金融公社(IFC)に支援を依頼し実現した。

 

 グリーンボンドには、評価機関のSustainalytics USがセカンドオピニオンを付与し、国際的なグリーンボンドの基準となっているグリーンボンド原則(GBP)への適合を評価した。

 

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 フィジーは南太平洋上に300余の火山島等で構成される島国。人口87万人。気候変動によって激化するサイクロン被害が毎年、GDPの3分の1もの被害をもたらすほか、海面上昇のリスクも高まっている。しかし、同様に気候変動で水没の危機に直面しているキリバスやツバルの人々の受け入れを宣言するなど、島嶼諸国のリーダ的役割を果たしている。

 

バイニマラマ首相は「フィジーは他の太平洋諸国と同様に、気候変動の最前線で生きている。海面上昇や気候変動の激化は、われわれの発展、安全、人々の日常生活を脅かしている。今回のグリーンボンド発行は、COP23でのカギとなる気候変動ファイナンスへのアクセスを目指すもので、他の危機に直面している国々のモデルとなる。また、先進国等の投資家に対しても、創造的で革新的な資金活用の道を示すことで、win-winの関係を築くことが可能になる」と述べている。

 

http://www.worldbank.org/en/news/press-release/2017/10/17/fiji-issues-first-developing-country-green-bond-raising-50-million-for-climate-resilience