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東京都がグリーンボンド100億円分の発行条件決定。5年債と30年債。31日発行。独機関が国際基準のGBP適合を評価。環境省ガイドラインは適用せず。事業全体の5%に「注文」も(RIEF)

2017-10-22 00:54:01

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 東京都は20日、再生可能エネルギーの利用拡大などに充てるグリーンボンド100億円の発行条件を決めた。5年債と30年債の2本で、発行額はいずれも50億円。利率は5年債が0.02%、30年債が同0.982%。発行はいずれも31日の予定。都は今年度の発行額を200億円としており、残りの100億円分を追加発行するとみられる。

 

 東京都は昨年111月、個人向けのトライアル版の東京都環境サポート債を発行しているが、本格的なグリーンボンドの発行は今回が初めて。債券の信用格付はS&Pが通常の都債と同様、A+の評価を付けた。

 

 グリーンボンドの評価は、独ESG評価会社の「oekom research」が担当。国際的なグリーンボンド基準であるグリーンボンド原則(GBP)への適合を評価するともに、自社のoekom グリーンボンド・分析フレームワークに基づく評価を行った。GBPより基準の緩い環境省の国内版グリーンボンドガイドラインは参考にしなかった。

 

 募集受託は、みずほ銀行。引き受け・募集取り扱いは三菱UFJモルガン・スタンレー証券とメリルリンチ日本証券が務めた。すでに20以上の機関投資家が投資を表明した。東京都が公表した投資家は次の通り。

 

 アフラック、学校法人工学院大学、イオン銀行、東京TYフィナンシャルグループ、みずほ銀行、三井住友銀行、三菱東京UFJ銀行、城南信用金庫、信金中央金庫、住友生命保険、第一生命保険、大同生命保険、東京南農業協同組合、独立行政法人環境再生保全機構、日本コープ共済生活協同組合連合会、日本生命保険、ヒロセ電機、富国生命保険、三井住友信託銀行、三井住友トラスト・アセットマネジメント、明治安田アセットマネジメント。

 

oecomキャプチャ

 

 資金の使途は、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けた「スマートエネルギー都市づくり」などのほか、ヒートアイランド現象に伴う暑熱対応、都有施設のZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)化推進など13分野を想定している。オリンピックを契機に、都市のグリーン化・スマート化を推進する考えだ。http://rief-jp.org/ct4/73531

 

 oecomは同ボンドがGBPに適合していると評価するとともに、「選定された全ての事業は、社会面・環境面の付加価値を 提供するものと言える。ただ、全体の約 5%(道路への遮熱性・保水性向上といったヒートアイラ ンド対策)の事業は、全体的な影響からみて高く評価するという判断を保留する」との評価をした。

 

 「全体の5%」と限定を付けながら、oecomが、資金使途の一部の事業や、事業選定基準、パフォーマンス基準に注文を付けたのは、民間銀行等が発行するグリーンボンドを評価する他のセカンド・オピニオン提供主体が付ける意見に比べて、中立的かつ独立的で注目に値する。

 

 基準類の整備を求めたのは、木材調達における厳格な人権関連の基準、排水処理における高度な水質基準、公共 交通車両における乗客と運転手の包括的な安全衛生対策や省エネ基準など。また、河川改修事業等についても、自然の河川の流れを無視している点に疑問符を示した。

http://www.zaimu.metro.tokyo.jp/bond/tosai_ir/tosai_ir_gb.html

http://www.zaimu.metro.tokyo.jp/bond/tosai_ir/gb/greenbond291011.pdf