HOME |ドイツのカーボン・電力取引所のEEX、中国北京環境取引所(CBEEX)と覚書締結。中国の全国版排出権取引開始を念頭に、外国投資家による中国カーボン市場アクセス促進を目指す(RIEF) |

ドイツのカーボン・電力取引所のEEX、中国北京環境取引所(CBEEX)と覚書締結。中国の全国版排出権取引開始を念頭に、外国投資家による中国カーボン市場アクセス促進を目指す(RIEF)

2017-10-24 18:07:02

beijingキャプチャ

 

  ドイツを拠点とする欧州エネルギー取引所(EEX)は、中国が年内にも全国版のカーボン排出権取引所をスタートさせることから、今後の中国で発展が見込まれるカーボン取引市場の運営等に関して、中国北京環境取引所(China Beijing Environment Exchange: CBEEX) と覚書(MoU)を交わした。中国のカーボン市場への外国投資家の参入促進を目指す。

 

   EEX(The European Energy Exchange)とCBEEX(China Beijing Environment Exchange)は、今回結んだMoUで、お互いを「戦略的パートナー」と位置づけている。MoUの主要な目的は、年内にも、取引開始が宣言されるとみられる中国版全国排出権取引制度(C-ETS)市場を前提にしたカーボン・ビジネス市場の展開にある。C-ETSは、当初は、年間1億㌦ほどとみられるが、将来は400億~500億㌦規模に拡大するとみられている。

 

 特に今回のMoUは、海外投資家が中国のC-ETSにアクセスする方法論を開発する点に主眼が置かれており、C-ETSで取引されるクレジットであるCCER(中国認証排出削減量)がEEXに上場される可能性もある。そうなると、EUのクレジットであるEUAとCCERが価格裁定が働くことになる。

 

 EEXのCEOであるPeter Reitz氏は「中国の全国版ETSは立ち上がると、世界中のカーボン市場に重要な影響を及ぼすだろう。同国市場が成功するには、クレジットへの信頼性と流動性を確保し、取引市場が十分に機能するようすることが主要な要因となる。EEXはそうした市場の整備と発展のために、CBEEXと戦略的パートナーとなって貢献することを望んでいる」と述べている。

 

 CBEEXの副社長の ZHOU Cheng氏は「パリ協定の公式の発効と、中国の国内排出権取引制度の全面稼動によって、中国のカーボン市場は急速に発展するステージに移行する。この挑戦と機会に立ち向かうことで、CBEXXは中国カーボン市場の形成に全力をあげて取り組みたい」と意気込みを語っている。CBEXXはこれまでも欧州のBlueNext Environment Exchange(BlueNext)、豪州のFinancial and Energy Exchange(FEX)と戦略的パートナーになっている。

 

 EEXはドイツ証券取引所のDeutsche Börse Groupの一部門で、欧州でカーボンだけでなく、電力、各種エネルギー、フライト、農産物等の商品取引所として知られている。

 

 CBEEXは、北京の株式取引所(CBWEX)によって設立された環境プロダクト等を取引する専門取引所。取引しているのは、北京市が実施しているパイロット版の排出権取引制度のCO2クレジットのほか、オフセットクレジットのCCER、硫黄酸化物排出権取引のSO2クレジット、化学的酸素要求量(COD)クレジットなど。

 

https://www.eex.com/en/about/newsroom/news-detail/eex-and-cbeex-enter-into-strategic-partnership-for-carbon-market-development-in-china/74906