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サウジアラビア 政府・公的機関の省エネを推進するため「スーパー・エスコ社」設立。ソブリンウェルスファンドのPIFが出資(RIEF)

2017-10-25 07:09:55

 

  サウジアラビアのソブリンウェルスファンドである「Public Investment Fund (公共投資ファンド:PIF)」は、同国の国家機関の建物やビルの省エネ化を進めるため、新たなエネルギーサービス会社「Super Esco(SE社)」を立ち上げた。政府・公的機関の建物・ビルのエネルギー効率化を促進するとともに、国内の省エネ産業の育成も目指す。

 

 王国の法令により、すべての政府機関と公的機関は保有する公共の建物や施設のエネルギー効率化を高めるため、SE社と個別に契約を結ぶことを義務付けられる。

 

 SE社にはPIFから19億サウジリヤル(約5億600万㌦)の資本が投入される。同社は、サウジが経済の多様化と環境面での持続可能性を目指して掲げる国家戦略の「Vison 2030」の一翼を担うことになる。いわば国家プロジェクトとしての省エネ展開になるわけだ。

 

 saudiキャプチャ

 

 このため、SEは同国のエネルギー・産業・鉱物資源省、財務省、サウジエネルギー効率化センターとパートナー関係を結ぶ。加えて、政府・公的機関等の省エネプロジェクトを仕上げるため、民間部門とパートナーシップを組み、民間企業に新たな投資機会を提供する。政府・公的機関の建物の省エネ化は政府全体の電力消費量を節約できるとともに、育成した省エネ産業を海外展開することも視野に入る。

 

Saudi2キャプチャ

 

 サウジの省エネ市場は年間30億リヤル(8億㌦)、全体市場規模は420億リヤル(112億㌦)と推測されている。グローバルな省エネ市場は347億㌦(約3兆9500億円)でそのうち9割は米国、欧州、中国で占められている。サウジの国家主導の省エネ展開で同国市場は外資にとっても有望な省エネ市場になるとみられる。

 

 PIFは1971年に設立された国家ファンド。保有資産1830億㌦でこれまで石油関連産業や電力・エネルギー産業、化学肥料産業などの育成に力を注いできた。昨年末にはムハンマド副皇太子(現皇太子)が3兆リヤルをPIFに投じて、脱石油改革の担い手にする方針を打ち出した。また今年7月には日本のソフトバンクグループ等と共同で10兆円規模の投資ファンドを設けている。