HOME |東京都がオリンピック・パラリンピック開会・閉会式の4日間を「ゼロカーボン・デー」に。排出権取引のカーボンクレジットの寄付でオフセット目指す(RIEF) |

東京都がオリンピック・パラリンピック開会・閉会式の4日間を「ゼロカーボン・デー」に。排出権取引のカーボンクレジットの寄付でオフセット目指す(RIEF)

2017-10-26 22:50:42

zerocarbonキャプチャ

 

 東京都は、2020年に開催する東京オリンピック・パラリンピック大会(東京2020大会)の開会式、閉会式の合計4日間、都内で排出されるすべてのCO2をゼロにするとして、「東京ゼロカーボン4デイズ in 2020」の実施を宣言した。ゼロカーボン達成のために、都が実施している排出権取引制度(C&T)に参加している事業者に、保有するカーボンクレジットの寄付を求めていく、としている。

 

写真は、パリで開いたC40の会議で、イダルゴ・パリ市長(右)から、オリンピックのメダルを作るため都が回収を進めている使用済み携帯電話を受け取る小池知事)

 

 小池百合子都知事が「ゼロカーボン」宣言を公表した後、「都民は呼吸禁止か」といったブラックジョークがネットで飛び交った。もちろん、都民の息から出るCO2をゼロにするわけではない。

 

 オリンピック開会式、閉会式の4日間で都内で排出されるCO2排出量は推計約72万㌧(2015年度の都内温室効果ガス排出量より試算)。都のC&Tに参加している対象事業者は、これまでの取引で、省エネ努力による排出削減効果によってカーボン・クレジットを合計で約 1000 万㌧保有しているおり、都は対象事業者にこれらのクレジットを寄付してもらうことを呼び掛けるという。

 

 72万㌧以上のクレジットを寄付されると、排出量とオフセットされ、差し引きでゼロカーボンが実現する。

 

 都が大規模事業者を対象に2010年4月から実施しているC&T制度は、オフィスビルなども対象としている。国が経済界の反対でC&Tを導入できず、効率的な温暖化対策を展開できていない中で、都が率先して運営してきたもので、海外でも評価が高い。

 

 都では開会式などだけでなく、大会の運営や施設の建設に伴い排出されるCO2のオフセットに対しても、C&Tのクレジットの寄付に期待をかけているという。ただ、問題がないわけではない。

 

 企業や事業者が保有しているC&Tのカーボン・クレジットは、C&T制度では排出削減余力のある事業体が、余力のない事業主体との間で売買することで、全体としての効率的な排出削減を進めるための仕組み。余剰主体がこれを寄付することは自主的になるが、制度の運営主体である都から寄付を要請されると拒否しずらく、本来のクレジット取引が不活発になるリスクがあるためだ。

 

  一見、温暖化対策とオリンピックを両立させるかのようなアイデアだ。だが、寄付クレジットがあっさり集まるようだと、「クレジットの価値があまりない」との評価もでき、都がアピールするC&T制度の効果・効率性に疑問符が付く可能性もある。

 

 「東京ゼロカーボン4デイズ in 2020」については、パリで開いた世界大都市気候先導グループC40の運営委員会に出席した小池都知事が公表した。東京2020大会の開会式は2020年7月24日(金)、閉会式は8月9日(日)、パラリンピックの開会式は8月25日(火)、閉会式は9月6日(日)に開催される。

 

http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2017/10/24/documents/12_01.pdf