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シリアがCOP23で、パリ協定への署名を表明。197番目の署名国に。内戦終結を象徴。離脱表明の米国だけが「孤立」。トランプ政権の反温暖化政策の「異常さ」際立つ(RIEF)

2017-11-08 16:52:29

SYriaキャプチャ

 

  ドイツのボンで6日から始まった国連気候変動枠組み条約第23回締約国会議(COP23)に出席しているシリアの代表団は、パリ協定に署名する意向を表明した。協定はすでに発効しているが、シリアは未署名で、、トランプ大統領が協定からの離脱を表明した米国とシリアの2カ国が協定の枠外にいる形だった。今回のシリアの署名表明で、米国の孤立が鮮明になった。

 

 COP23の本会議で、シリアの代表団が意向を表明した。シリアの署名は197番目の署名国となる。これまで同国は、ISとの内戦が激化していて、協定への署名どころではなかった。しかし、ISの敗戦の確定で、徐々に復興への期待が高まっている。今回のパリ協定への署名宣言は、国際社会への復帰と貢献を宣言する意味合いもありそうだ。

 

 パリ協定は2015年12月に署名多数で採択され、各国の国内手続きの完了を経て昨年11月に発効している。先月まで、中米のグアテマラも未署名だったが、同国は先月署名に踏み切った。このため、2カ国の動向が注目されていた。

 

 激しい内戦を潜り抜けて国際社会へ復帰する最初の行動として、パリ協定への署名を選択したシリアに対しては、各国代表やNGOなどからも高い評価が送られた。一方で、いったん署名しながら、トランプ大統領の政治的判断で、離脱を表明した米国に対しては、改めて「身勝手は国」との評価が向けられている。

 

 米国は協定からの離脱を宣言したが、協定のルールでは発効から4年間は離脱を禁じているため、2020年11月4日までは米国も協定の枠内にとどまる。11月4日は、次の大統領選挙の翌日ということになるので、次期大統領が協定にとどまるか、トランプ政権の宣言を実行するかの選択権限を持つことになる。

 

 COP23に参加中の米シンクタンクWorld Resources Institute(WRI)の気候変動プログラム担当のPaula Caballero氏は「今や世界全体が気候変動に対処する行動を推進することで一致した。こうした意志の確認は、トランプ政権を躊躇させ、協定から離脱するという間違った宣言を一層、浮き立たせることになる」と指摘している。

 

 同じく米環境NGOの Sierra Club の代表理事のMichael Brune氏も「トランプ政権は孤立し、危険なポジションに立っている。気候変動リスクを示す事実や知識を拒否したトランプ政権の行動は、高排出企業を助けるだけ。にもかかわらず、大統領は、自らのリーダーシップの欠如にも、その意味もわからないままだ」と痛烈に批判している。

 

 COP23には米国の代表団も参加しているが、関係者によると「極めてLow-key(控え目)で、存在感も見えない状況」という。一方、米国の主要州や市町村、企業、大学、教会など2500以上の機関で構成する「We Are Still(我々はパリ協定にとどまる)」 キャンペーンの面々は、COP23の各会場で、「連邦政府が離脱しても、米国の市民、ビジネス、コミュニティは、パリ協定を尊重し、推進する」と気勢をあげている。

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