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インド・ニューデリーの大気汚染が危機的状況。首都圏首相は「ガス室のようだ」と慨嘆。学校は3日間休校、建設・解体作業は5日間中止(各紙)

2017-11-08 22:39:13

Indiaキャプチャ

 

 各紙の報道によると、インドの首都ニューデリーで大気汚染が悪化している。学校を休校にしたり、予定されたハーフマラソン大会の中止を医師会が要請するなど、生活への影響が拡大している。

 

 ニューデリーでは、冬になると風がやみ、野焼きの煙や車の排ガスなどが滞留することが多い。今月に入ってからも、周辺の州にある農場の野焼きによる煙やヒンズー教の新年を祝う祭りの花火などの複合要因で悪化が進んでいる。7日には朝から空気が白く濁り、地元メディアによると、視界は200m以下まで悪化した。

 

 デリー首都圏(州)当局の観測データによると、ニューデリー市内では7日午前、微小粒子状物質PM2.5の濃度が1㎥当たり815μgに達し、インドの基準値(60μg、日本は1日平均35μg)を13倍も超えた地点も出たという。ニューデリーの国際空港では視界不良で滑走路が一時閉鎖し、20便以上が遅延した。

 

 8日も状況は変わらず、デリー首都圏のケジリワル首相は、ニューデリーを「ガス室」のようだと述べた。そして、すべての建設・解体作業を5日間中止、学校を3日間休校にするよう命じた。また、ディーゼルを燃料とするすべての発電機の使用も10日間、禁止し、道路の清掃や放水を開始するとしている。

 

 しかし、相次ぐ大気汚染で、市内全体が濃い霧に覆われ、住民らは目や喉の痛みを訴えている。大気汚染の悪化状況を示す指数は、この日が451となった。最悪とされる500に近づいている。同指数は100を超えた時点で、「不健康」とみなされる。地元病院の医師によると、このレベルは1日に50本のタバコを吸っているのと同じ、と指摘している。

 

 世界保健機関(WHO)が2016年に公表した報告書によると、ニューデリーのPM2.5の年平均濃度は北京の約1.4倍で、世界約3000都市のうち11番目に高かった。地元メディアによると、インドでは15年だけで50万人以上が大気汚染により死亡したとする研究もあるという。

 

 デリー首都圏の当局者は、大気汚染がさらに悪化すれば、排ガスの発生源でもあるトラックの首都内への立ち入り禁止や、建設工事の中止などの緊急措置をとることも検討するとしている。

http://jp.reuters.com/article/delhi-india-pollution-idJPKBN1D80D1

https://mainichi.jp/articles/20171108/k00/00m/030/040000c