HOME10.電力・エネルギー |世界の石炭産業リスト、独NGOが作成。最大の石炭生産、石炭火力はともに中国、インド企業。日本も新規石炭火力建設国で先進国唯一の上位ランク。丸紅など22の日本企業を登録(RIEF) |

世界の石炭産業リスト、独NGOが作成。最大の石炭生産、石炭火力はともに中国、インド企業。日本も新規石炭火力建設国で先進国唯一の上位ランク。丸紅など22の日本企業を登録(RIEF)

2017-11-14 20:38:33

 

 ドイツの環境NGOが世界の石炭事業に取り組む企業のデータベース「Global Coal Exit List(GCEL:脱石炭リスト)」を公表した。世界の石炭生産の88%、石炭火力発電容量の86%をカバーする企業775社を登録した。世界最大の石炭生産企業はインドのCoal India、2位は中国のShenhua。石炭火力発電でも最大は中国企業、2位はインド企業。両国の石炭依存を減少させることが国際課題であることを示す。日本企業では、丸紅が新規石炭火力発電計画企業として第26位にランクされている。

 

 「脱石炭リスト」をまとめたのはドイツの環境NGO「Urgewald(ウルゲバルト)」。リストに登録する対象企業の選別基準として① 発電容量または収益の30%もしくは30%以上が石炭関連事業の企業② 年間の石炭採掘量が明らかに2000万㌧を超えるか、または石炭火力発電による発電容量が10000MWを超える企業③ 新規の石炭採掘または石炭火力発電への投資を計画している企業ーーを設定、国を問わず選定した。

 

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 その結果、石炭生産(採掘)企業218社、石炭火力発電企業214社、両方を操業している企業110社、石炭バリューチェーン関連事業(サービス等)が233社となった。この中には、新規に石炭火力発電や採掘を計画中の企業が437社(探鉱拡張225社、新規石炭火力282社、両方含む)含まれる。

 

 国別では、石炭企業が最も多いのは中国(143社)、インド(95社)、米国(92社)、オーストラリア(71社)の4カ国に集中している。石炭生産で最大企業のCoal India は昨年だけで5億3900万㌧を生産、世界の石炭生産の7%を1社で掘り出している。2位のShenhuaの生産量は4億3300万㌧。

 

 

 世界最大の石炭火力発電企業は中国のHuaneng Groupで発電容量は11万7873MW。現在、石炭火力発電を拡大・建設中の最大企業はインドのNTPCで、3万8372MW。新規石炭火力建設を進めている国では、中国が最大(28万53MW)で、以下、インド、トルコ、インドネシア、ベトナムと続き、その後に日本が2万1514MWで、先進国唯一の「石炭火力国」として上位にランクされている。

 

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 GCELに登録された日本企業は22社。このうち、最大の石炭火力発電企業は電源開発(Jパワー)で9400MWを抱える。石炭採掘業では住友商事がオーストラリアで年間4000万㌧を生産している。Urgewaldによると、住友商事は石炭事業を成長分野としてとらえ、炭鉱での生産から運搬のインフラ事業を含めてパッケージとして推進している、と説明されている。

 

 

 新規石炭火力発電建設計画中の企業で26位につけた丸紅は、アジアやアフリカの9カ国で、建設計画を推進しており、その発電量は5800MWに達する。

 

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  リストアップされた日本企業は以下の通り。中部電力、中国電力、北海道電力、北陸電力、電源開発(Jパワー)、石炭資源開発、JFEホールディングス、関西電力、神戸製鋼、九州電力、丸紅、三菱商事、三井松島産業、新日鉄住金、沖縄電力、大阪ガス、四国電力、住友商事、東北電力、東京電力、宇部興産、UBE-C&A Co。

 

 一方で、こうした石炭関連企業への投融資資金を引き揚げるDivestmentの動きも高まっている。フランスの保険大手AXAが2015年に、収入の50%以上を石炭関連事業に依存する企業向けの保険引き受けを停止したのをはじめとし、ドイツの保険大手Allianzとノルウェーの政府年金基金はそれぞれ40億ユーロ(約5200億円)のDivestmentを宣言している。また、オランダのABN Amroは新規石炭火力発電への投融資をすべて停止すると発表した。しかし、日本の金融機関の追随はまだない。

https://coalexit.org/database

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