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原子力発電環境整備機構(NUMO)原発核ごみ説明会に学生参加 謝礼やサークル支援約束で39人動員(各紙)

2017-11-15 11:06:01

NUMO2キャプチャ

 

 各紙の報道によると、原子力発電所から排出される高レベル放射性廃棄物(核のごみ)を最終処分する候補地の選定で、経済産業省と原子力発電環境整備機構(NUMO)による住民向け意見交換会で、運営委託企業が、謝金等を渡して学生らを動員していたことがわかった。

 

 経産省とMUMOは、最終処分場の調査対象になる可能性がある地域を示した「科学的特性マップ」を公表し、それについての市民向け説明会を福島を除く全国46の都道府県で開く予定。先月から14か所で始めている。「やらせ行為」が起きたのは東京や埼玉など5か所の会場。

 

 NUMOによると、広報業務の運営は「地域力活性化研究室」(東京都港区)が受注し、同社は若年層への広報は大学生マーケティングなどを主業務とする「オーシャナイズ」(同区)に再委託した。再委託を受けたオーシャナイズ社が、学生に謝礼やサークル活動への支援を約束して、説明会への参加を依頼したという。

 

 こうした約束で説明会が開かれたのは、東京、愛知、大阪、兵庫、埼玉の5会場。今月6日に埼玉で開いた説明会で、学生の1人が「参加すると謝礼をもらえると聞いた」と発言したことから発覚した。埼玉の会場に来た86人の参加者のうち、学生12人に対して1人当たり1万円相当を払う約束をした。

 

記者会見する原子力発電環境整備機構の中村稔専務理事(左)と宮沢宏之理事
記者会見する原子力発電環境整備機構の中村稔専務理事(左)と宮沢宏之理事

 

 また、残りの東京、愛知、大阪、兵庫でも4会場計27人の学生を集め、学生が所属するサークルに対し、1人当たり5000円相当の支援を約束していたという。ただ埼玉の会場では、学生から謝礼を問題視する意見も出たことで、実際には支払われなかったと説明している。このほか栃木、群馬、静岡、和歌山、奈良でも同様の呼びかけをしたが、学生が集まらなかったという。

 

  NUMO自体は、謝礼を払って参加者を集めるように依頼はしておらず、発言内容に注文をつけるといったことはしていないと、説明している。ただ、説明会の運営に対して「業者に丸投げ」していた可能性も指摘されている。

 

 宮沢宏之NUMO理事は記者会見で「意見交換会全体の公平性について不信感を招きかねないものであり、委託先に対する管理が不十分であったと言わざるをえない。このような事案が発生したことに対し、深くおわび申し上げる」と陳謝した。

 

NUMO3キャプチャ


  原子力に関連する住民説明会ではこれまでも、九州電力が佐賀県の玄海原発など原発立地の地元で、2005~07年にかけて開いた、プルトニウムを燃料に使う「プルサーマル」に関するシンポジウムでも起きている。この時は、国の担当者が電力会社に直接参加者の動員を求め、賛成意見や質問を述べるよう要請する「やらせ」を働きかけていたことが発覚している。

 

 今回、NUMO側は下請けの会社を通して参加人数にノルマを設けたり、発言内容を強制したりしたことはないと説明している。これに対して、2次下請けのオーシャナイズ社は2013年度以降、同じような「核のごみ」処分の説明会の委託を受けており、これまでも学生にサークル活動への支援を約束し、説明会への参加を依頼していたと説明、学生動員が「常態化」していたことを認めている。

 

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20171115/k10011223651000.html