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地球環境めぐり「人類へ警告」「このままでは自然と衝突する」と。世界の科学者1万6000人以上が署名。米教授の警告書簡に賛同が続出(CNN)

2017-11-15 18:08:27

CNN1キャプチャ

 

 (CNN) 地球環境の将来を憂慮する専門家が人類へ警告を発した書簡に、世界184カ国の科学者1万6000人以上から賛同の署名が集まっている。

 

 書簡は米オレゴン州立大学で生態学を研究する著名研究者、ウィリアム・リップル教授らが13日、生命科学専門誌で公開。人間が行動を変える努力をしなければ、地球に重大で不可逆的な害が及ぶと警告している。

 

 同様の書簡は1992年にも発表され、科学者1700人が署名した。「人類はこのまま進めば自然との衝突を避けられない」と警告する内容だった。それから25年たった今も、世界は深刻な問題に直面している。「私たち自身を壊滅的な悲劇から救うための努力だということを知ってもらう必要がある」と、リップル氏は語る。

 

 環境問題の多くは25年前に比べ、「驚くほど」悪化しているという。二酸化炭素(CO2)排出量は70年から90%も増加した。このうち78%は化石燃料の燃焼が原因だ。世界の平均気温は上昇を続け、米航空宇宙局(NASA)によると昨年は過去136年の観測史上で最高を記録した。

 

アルゼンチンのロス・グラシアレス公園。欧州宇宙機関(ESA)によれば、公園内にある約50の氷河の大半が気温の上昇により過去50年で小さくなっている
アルゼンチンのロス・グラシアレス公園。欧州宇宙機関(ESA)によれば、公園内にある約50の氷河の大半が気温の上昇により過去50年で小さくなっている

 

 リップル氏らの書簡によると、海や湖、川の生物が酸素欠乏のために生息できない「デッドゾーン(死の領域)」の数は、この25年で75%増加した。デッドゾーンは自然に発生する場合もあるが、農業、工業など人間の活動が招く富栄養化が主な原因とされる。米東海岸沖や五大湖、メキシコ湾北部に多くみられ、南米、日本、中国、オーストラリア南東部の近海など世界に少なくとも405カ所見つかっている。

 

 世界の漁獲量は大きく減少し、06年の研究では50年以内に壊滅状態になる恐れがあると指摘された。途上国住民らの栄養状態への影響も懸念される。人間の生活に使われる1人当たりの真水の量は、過去25年間で26%減少した。人口増加や産業化、都市化、水の消費増加の影響で、水不足が深刻化している。

 

 世界の森林面積は1990年から2015年の間に1億2900万ヘクタール縮小した。南アフリカの国全体とほぼ同じ面積が失われたことになる。ただし森林破壊のペースは近年、緩やかになってきたという。世界各地で保全の取り組みが進んでいるためだ。

 

巨大な砂の雲に襲われるスーダンの首都ハルツーム。専門家からは、早急に対処しないとアフリカの一部の国では人が住めなくなるとの見方も出ている
巨大な砂の雲に襲われるスーダンの首都ハルツーム。専門家からは、早急に対処しないとアフリカの一部の国では人が住めなくなるとの見方も出ている

 

 世界の人口は92年から35%増加し、環境への負荷もそれだけ増大した。この傾向は今後も続く見通しだ。一方で動物の生息数は全体で約29%減少している。

 

 明るい兆しがみられるのはオゾン層保護の動きだ。87年にオゾン層の破壊を防ぐためのモントリオール議定書が採択され、破壊物質が規制された。その結果、オゾン層の穴は今世紀半ばまでに回復する見通しとなっている。

リップル氏は、ほかの分野でも力を合わせれば、大きな変化をもたらすことができると強調。書簡がそのきっかけになることを願っていると述べた。同氏のもとには、環境保護を訴える詩や歌、協力の申し出などの反響が多数寄せられているという。

https://www.cnn.co.jp/fringe/35110450.html