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旭化成、EUのCO2回収利用の「CCU」実証実験に参画。イオン交換膜を利用したアルカリ水電解システムで水素供給。日本でもやってくださいな(RIEF)

2017-11-21 22:07:50

CCU2キャプチャ

 

 旭化成は、ヨーロッパ統括会社の旭化成ヨーロッパ(AKEU)を通じて、石炭火力発電などから回収したCO2を水素と反応させ、メタノールなどの燃料に変換するEUのCCUS(Carbon Capture, Utiliszation and Storage:カーボン回収・利用・貯留)実証実験に参画すると発表した。同社が開発した低コストで水素を製造できるアルカリ水電解システムでCCUSに水素を供給する。

 

 低炭素社会への移行取り組みとして、化石燃料に代えて再生可能エネルギーへの転換とともに、既存の化石燃料から出るCO2を吸収・貯留する方式の実用化が進められている。これまでは回収したCO2を海底や地中に貯留するCCSが有望とされてきたが、回収したCO2を単に貯留するのではなく、エネルギーとしても利用するCCUSの活用に注目が集まっている。

 

 旭化成が参画する実証実験は、「ALIGN-CCUSプロジェクト」で、欧州の31の主要研究機関と企業とのパートナーシップでCCUに取り組む。このほど、EUのEuropean ERA-NET ACT fundから1500万ユーロ(19億6500万円)の資金援助を得たほか、参加各国(ノルウェー、イギリス、ルーマニア、ドイツ、オランダ)からも補助金を得ている。

 

CCU1キャプチャ

 

 実験は、2017年から2020年までの3年間で、6つのワーキングパッケージに分けて実施する。これらの実験で、CO2回収技術の最適化・コスト削減、大規模CO2輸送、オフショアでの安全なCO2地下貯蔵、CO2活用技術の開発、CCUSの社会的啓蒙のサポート等に取り組む。

 

 AKEUは、イオン交換膜と食塩電解システムの技術・ノウハウを生かし、再エネ電力から水素を製造するアルカリ水電解システムを開発している。同システムは低コストでエネルギー変換効率が高いことで知られ、この技術で製造した水素と、火力発電から回収したCO2を反応させてメタノールなどのクリーン燃料に変換する。

 

 旭化成は、すでに新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業として、横浜市に設置した実証機サイズの大型水電解システムで、再エネ電力を利用して1万時間を超える安定的な水素製造を実現している。再エネ電力を水素に変換するエネルギー効率は90%で、10MWの電力から常温常圧で1時間当たり2000㎥の水素を製造できる。これは2年間燃料電池車が走行できる量に匹敵するという。

 

 ALIGN-CCUSプロジェクトに先駆け、2017年度中にドイツ西部のヘルテンに再生可能エネルギーを利用するアルカリ水電解システムの実証機を設置する計画で、同国でのマーケティング活動も進める方針としている。

 

https://www.asahi-kasei.co.jp/asahi/jp/news/2017/ze171114.html

https://www.alignccus.eu/