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ロシアのロスアトムの大規模原子力施設があるウラル地方で、高濃度放射性物質検出。フランスでも検知。過去にもレベル6の事故発生。放射性廃棄物から漏洩か(RIEF)

2017-11-27 00:48:52

Ayak1キャプチャ

 

 各紙の報道によると、ロシアのウラル地方南部のロスアトム(Rosatom)の原子力発電所等の設備があるマヤク(Ayak)の一角の小村で、 放射性同位元素のルテニウム106が「極めて高い」レベルで検出され、事故かあるいは廃棄された放射性物質の漏洩の可能性が指摘されている。ルテニウムは拡散し、微量ながらフランスでも検知されたという。ロシアの原子力安全研究所は、調査委員会を発足させた。

 

写真は、Mayakの貯蔵施設の空調センター。1957年に原発事故を起こしている)

 

 Ayakにはソ連時代から、Rosatomが世界最大規模の原子力開発の拠点としてきたことで知られている。 研究開発を含めて活動を始めてから76年の歴史を持ち、放射性廃棄物も大量に地域内で埋蔵しているとされる。だが、同地は1957年9月に、同地内のKyshtymで放射性物質の漏洩事故(レベル6)を起こしたことでも知られている。

 

 Ayakでのレベル6の事故は、福島原発事故、チェルノブイリ原発事故に次ぐ危機レベルの高い事故だった。今回の高濃度のルテニウムが検出されたの小村はArgayashで、Ayakの原子力施設群を取り巻く寒村の一つ。

 

 ロシアの気象庁は9月後半に、ウラル地方南部チェリャビンスク(Chelyabinsk)州マヤクの核施設に近い観測所で「極めて高い」濃度のルテニウム106を検出していたことを、2か月後の11月20日に認めた。その間、西側の報道で疑念が伝えらえたことに対して、地元の政治からは、「雲と勘違いしているのでは」などと全面否定していた。Rosatomは現時点でも「事故の可能性」を否定している。

 

 しかし、先週になって、設備の欠陥を指摘する匿名の手紙が報道機関等に配布された。それによると、「他国の設備を複製した中国製の欠陥配管によるクーリングシステムと特別下水処理施設の不具合で、システムは2年も持たないだろう。破壊寸前になっている」と告発している。プーチン大統領らをあて先としている。告発文書は、「Mayakの労働者」と名乗っているという。

 

 1986年のチェルノブイリ原発事故の際、当時のソ連政府はパニックや機密漏洩を恐れて事故を内外に公表せず、周辺住民の避難措置も出さなかったため、多くの住民が高線量の放射性物質の被爆を受けた。事故の翌日、スウェーデンが検知し、事故から2日後になって、ソ連政府も認めた経緯がある。

 

 このため今回も、EUなどだけでなく、ロシア国内の環境団体などからも疑念があがっている。ロシア当局は、高濃度のルテニウムの検出を認める一方で、現時点で健康に影響がある状況ではない、としている。

 

 英紙のレポートでは、Argayash村の住民の一人は、「誰も何も言ってくれない。われわれは子供や孫の世代への影響を恐れている」と村全体が恐怖にさらされていると語っている。

 

 明らかなことは、検出されたルテニウムは自然のものではないということだ。原発用の核燃料を開発する過程で発生する。Mayakの原子力設備を運営するRosatomが相変わらず、否定的な対応を続けていることについて、ロシアの環境NGOの Russian Social-Ecological Unionの 共同代表のAndrey Talevlin氏は「過去の経験(チェルノブイリ)は、彼らはウソをつき、情報を隠蔽する、ということを教えてくれる」と指摘している。

https://themoscowtimes.com/news/anonymous-letter-prompts-new-investigation-of-nuclear-plant-6215