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グリーンピース、「環境に優しい電子機器企業ガイド」公表、高評価はアップル、フェアフォン2社。サムスン、ファーウェイは低評価。アマゾンは「もっとも透明性の低い企業」(RIEF)

2017-11-29 21:39:46

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   環境NGOのグリーンピース・ジャパンは29日、スマホなどIT製品を製造・販売するグローバルIT企業17社の環境への取り組みを評価した報告書を公表した。それによると高評価を得たのはフェアフォン(オランダ)とアップル(米)で、スマートフォンの世界市場トップを占めるサムスン(韓国)とファーウェイ(中国)は、環境負荷低減に取り組む責任を果たしていないと、低評価になっている。

 

 報告書は、『環境に優しい電子機器企業ガイド』第19版。グリーンピースアメリカが主導して発行し、、一般消費者向け電子機器の大手グローバルブランド17社が自社の環境負荷削減に向けてどのような取り組みを行っているのかを調べてきた。2006年から2012年にかけて定期発行していたが、一時中断。今回、製品設計や、サプライチェーンマネジメントなどと結びつく、エネルギー、資源消費、化学物質の3つの影響分野の評価に焦点をあてて評価したという。

 

 その結果、多くの電子機器メーカーにとって、部材などの供給業者(サプライヤー)が環境フットプリントの大部分を占めているが、ほとんどのメーカーはサプライヤーに関する情報を公表していない。今回の評価対象17社のうち、必要最低限のサプライヤーリストを公表しているのは6社だけで、各サプライヤーからの製品やサービスについて詳細を公表しているのはフェアフォンと米デルだけ。世界のスマートフォン市場のトップ3ブランドのうちファーウェイは、自社サプライチェーンの温室効果ガス排出量について全く報告していない。

 

 電子機器のライフサイクルで発生する温室効果ガスの80%が製造時に発生する。多くの企業が自社オフィスやデータセンターの電気を自然エネルギーに切り替え始めており、アップルは100%自然エネルギーにすることを宣言している。だが、大半の企業は、自社サプライチェーンのカーボンフットプリントの急増や石炭火力発電などの環境汚染エネルギーへの依存に十分には対処していない。評価対象17社の2016年の推定温室効果ガス排出量(自社の事業活動とサプライチェーンの両方)は、CO2 換算で1億300万㌧を超えた。これはチェコの年間排出量とほぼ同じ水準。

 

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 アップルと対照的なのが韓国のサムソン。サムスンは世界最大のスマートフォンメーカーであると同時に、他のブランド企業の多くにも部品を提供するサプライヤーでもある。しかし同社の2016年のエネルギー使用量は1万6,000GWhを超え自然エネルギーはその1%にすぎない。

 

 中国のスマートフォンメーカーのファーウェイ、オッポ(Oppo)、シャオミ(Xiaomi)を合計すると、2017年第2四半期の世界のスマホ市場シェアは4分の1を超える。しかし、3社は、評価の中心となったエネルギー、資源消費、化学物質の3つの影響分野の評価すべてで平均以下の成績だった。特に自然エネルギーについては、透明性と実体のある取り組みを欠いている。

 

 一方、アマゾンは、自社の事業活動に関するカーボンフットプリントの報告を拒んでおり、依然として環境パフォーマンスに関しては「世界で最も透明性の低い企業の一つである」と断じている。

 

 市場が飽和状態に直面する企業は、頻繁な買い替えを必要とするような、持続可能ではない設計をとるところが増えている。アップル、マイクロソフト、サムスンの最新製品の多くは修理やアップグレードが難しく、「計画的旧式化」の設計とされた。持続可能な製品設計からほど遠い。逆に、ヒューレットパッカード(HP)、デル、フェアフォンは修理、アップグレード可能な製品を製造している。

 

 電子機器廃棄物(eウェスト)の量は、2017年には世界全体で6500万㌧を超すと予想される。何らかの自主回収事業を行うブランドは増えているが、実際に何が回収されているのか、回収された後にどこに行くのか等の情報開示ができている企業は「ほとんどないに等しい」と指摘している。有価物質が含有されているeウェストで正規にリサイクルされる量は16%未満と推定される。非正規にリサイクルされる廃棄物は作業従事者の健康や現地の環境を危険にさらす方法で取り扱われるケースが横行しているという。

 

 09年から10年にかけて、エイサー(Acer)、アップル、サムスン、LGエレクトロニクス(LG)、レノボ(Lenovo)、デル、HPなどの各社が、有毒な電子機器廃棄物の流れを食い止めるために、自社製品からポリ塩化ビニル(PVC)と臭素系難燃剤(BFRs)を段階的に廃止すると宣言した。しかし、2017年現在、製品全体にわたりBFRsとPVCが含まれていないのは、アップルとグーグルの製品だけ。「発表」だけで実績を伴わない企業が少なくない。

 

http://www.greenpeace.org/japan/Global/japan/pdf/Guide-to-Greener-Electronics-2017-JP.pdf