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オーストラリアで、世界最大の100MW蓄電設備完成。テスラのバッテリー活用。CEOのマスク氏が「100日間で完成」とツィッターで約束。テスラの技術力アピール(RIEF)

2017-12-02 22:44:48

Tesla2キャプチャ

 

    オーストラリアの南部のサウスオーストラリア州で建設されていた世界最大のリチウム電池の蓄電設備が完成、稼働した。蓄電能力は100MWの能力を持つ。電気自動車のテスラ社の「パワーパック(Powerpack)」システムを使っており、3万軒以上に電力供給が可能。同州は昨年、「前例のない」嵐に見舞われ州全土で大規模な停電が発生、今夏(日本と逆)の電力需要を満たすため建設されていた。

 

  同州は、慢性的な電力不足を抜本的に改善するため、5億5000万㌦を投じて、電力システムを増強している。今回の大規模蓄電設備の導入はその一環。蓄電設備は3300万㌦とされている。 さらに発電量250MWの天然ガス発電所も建設中で、こちらは来年夏に稼働する予定。

 

 今回、蓄電設備が建設されたのは、同州の州都アデレード(Adelaide)から北へ230km離れたジェームズタウン(Jamestown)。このプロジェクトが注目されたのは、米電気自動車(EV)大手テスラ(Tesla)のイーロン・マスク(Elon Musk)最高経営責任者(CEO)が、直接かかわって実現したためだ。

 

 経緯は、同州の電力問題を憂慮したオーストラリアのソフトウェア会社創業者のMike Cannon-Brookes氏が、ツィッターでテスラのマスク氏とやりとりし、テスラの協力を要請したことで始まった。これに対して、マスク氏は「100日で100MWの蓄電施設を建設できなければ、無料にする」と見栄を切って応じたという。

 

Tesla4キャプチャ

 

 実際はテスラは、63日で建設から稼働にこぎ着けた。マスク氏は見事に約束を果たし、世界にアピールできたわけだ。同時に、マスク氏はCannon-Brookes氏との賭けで、5000万㌦を得たとされる。システムを供給したテスラは、今回のプロジェクトを同社の蓄電システムを世界展開するためのモデルケースと位置付けている。

 

 オーストラリア・エネルギー市場オペレーター(AEMO)によると、蓄電設備は隣接する仏再生エネルギー企業ネオエン(Neoen)が運営する99基の風力発電機を備えた集合型風力発電所 「Hornsdale Wind Farm」から電力を受け入れる。風力発電の電力を安定化して、州の電力網に供給する。初日は、70MWの電力が供給された。

 

 蓄電設備は、停電時には、3万の家庭に8時間の電力を供給できる。4時間分ならば6万家庭に供給可能という。

 

Teslaキャプチャ

 

 稼働式には同州首相のジェイ・ウェザリル(Jay Weatherill)氏が出席、自ら蓄電設備のスイッチを入れた。同氏は「わが州は、毎日24時間休まずに一般家庭や企業に需要に応じて送電量を調整できる再生可能エネルギーの分野で、今や、世界をリードしている」と強調した。

 

 Neoenの副CEOのRomain Desrousseaux氏は、「わが社とテスラは、州政府の大胆な計画にアプローチしてこのプロジェクトを実現した。みんな約束を守って稼働させた。われわれは長期間にわたって持続可能なエネルギー源の供給にフォーカスしていく」と手応えを述べた。

http://ourenergyplan.sa.gov.au/battery.html