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ロシアの「原因不明の高濃度放射性物質検出」問題で新展開。フランスのスーパーで売られていたマッシュルームから微量セシウム検出。欧州全体に放射性物質が拡散している可能性(RIEF)

2017-12-03 21:19:35

Ayakfrance2キャプチャ

 

  ロシアのウラル地方南部のロスアトム(Rosatom)の原子力関連施設があるAyak地域で、 放射性同位元素のルテニウム106が「極めて高い」レベルで検出された問題で、ロシアからフランスに輸出されたマッシュルームから微量の放射性物質セシウムが検出された。原因不明の放射性物質の拡散が、欧州全域に広がっていることを示す。

 

 フランスの原子力規制を担当するASNは、市販されているロシア産マッシュルームからの放射性物質のセシウムを検出したと公表した。検出濃度は明らかになっていない。

 

 ロシアの気象庁は9月後半に、ウラル地方南部チェリャビンスク(Chelyabinsk)州Ayak(アヤク)の核施設に近い観測所で「極めて高い」濃度のルテニウム106を検出していたことを、2か月後の11月20日に認めた。Rosatomは現時点でも「事故の可能性」を否定している。

 

香りのいいマッシュルームjの「ジロール」
香りのいいマッシュルームjの「ジロール」

 

 Ayakには旧ソ連時代から、Rosatomが世界最大規模の原子力開発の拠点としてきた。1957年9月には、同地内のKyshtymで放射性物質の漏洩事故(レベル6)を起こしたことでも知られている。福島原発事故、チェルノブイリ原発事故に次ぐ危機レベルの高い事故だった。現在は使用済み核燃料の再処理工場などがある。

 

 フランスでセシウムが検出されたマッシュルームは、chanterelle mushrooms(アンズタケ)。フランスでは「ジロール」と呼ばれる香りのいい食用キノコ。パリのスーパーマーケットで販売されていた。現時点では健康への影響は問題ないとされている。

 

 ASNの責任者のPierre-Franck Chevet氏の発言として、ロシアからの流れてくる雲からの放射性物質のレベルは、フランスの国民の健康に影響を与える状況ではない、としているという。しかし、今回、日常食品からセシウムが検出されたことから、食品輸入規制の検討の議論が出る可能性もある。

 

Ayakfrance3キャプチャ

 

 今回のセシウムを検出したマッシュルームはロシアから輸入されたものであることは、間違いない。ただ、現時点で、フランスの消費者保護庁(DGCCRF)は特別の見解は明らかにしていない。またASNもさらなる詳細な情報を開示していない。

 

 フランスでは11月9日に、原子力安全委員会のIRSNが大気中から、通常よりも高い濃度のルテニウム106を検出している。今回のマッシュルームからのセシウム検出と、9日のルテニウム106の検出が関連性があるかどうかも今のところ、明確ではない。

 科学者によると、他の放射性物質の要因がない中で、ルテニウムが検出されるのは、大規模な原子力事故よりも、ルテニウムの漏洩の可能性が高いとの指摘もある。使用済核燃料の再処理過程で保管されている放射性廃棄物等が、何らかの原因で漏洩した可能性が取り沙汰されている。

 http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-5132145/France-finds-traces-radioactive-cesium-Russian-mushrooms-ASN.html#ixzz50BOeU3nh