HOME5. 政策関連 |仙台市、市内全域での石炭火力発電所立地に“拒絶の意志”を表わす「指導方針」策定。全国の自治体で初。国の石炭火力推進姿勢に抵抗(RIEF) |

仙台市、市内全域での石炭火力発電所立地に“拒絶の意志”を表わす「指導方針」策定。全国の自治体で初。国の石炭火力推進姿勢に抵抗(RIEF)

2017-12-04 22:01:02

sendai3キャプチャ

 

 仙台市は、市内の仙台港周辺で、石炭火力発電所の建設が相次いでいることから、さらなる石炭火力発電建設に歯止めをかけるため、独自の「指導方針」を正式に策定、施行した。方針は、市内全域での石炭火力の立地に対して「自粛を強く求める」と、事実上の拒絶の意志を示した上で、それでも建設を求める場合は、①ゼロオプションを含む複数の計画案の作成と環境影響評価②市民からの意見聴取の手続き等ーーの条件を示した。

 

 仙台市が条例ではなく、指導方針という名の行政指導を示すのは、国が石炭火力発電建設を容認し、環境省も十分に規制しようとしていないことから、自治体独自で立地計画を規制することは法的に困難、という事情が背景にある。http://rief-jp.org/ct4/73652

 

 このため、今回の指導方針は任意の制度として、建設計画を立てる事業者に向けて市の姿勢を明確化した形だ。方針は「「杜の都・仙台のきれいな空気と水と緑を守るための指導方針」として、仙台の歴史的な自然環境を保全し、将来に継承することが市の重要な責務である、と明記している。

 

sendai484d53852940effbe103345b2c14f6b385

 

 方針の対象は、「石炭火力発電所」で、対象地域は「市内全域」。指導の内容は、「本市域内へのさらなる石炭火力の立地については、自粛するよう強く求める」とした。それでも「仮に立地を検討する場合」には、①ゼロオプションを含む複数の計画案を作成、それぞれの環境影響について予測・評価すること②①を公表するとともに、説明会の開催や市民等から意見聴取を行うこと③上記の①②の結果について、環境影響評価審査会に報告し、意見を聴くこと、の3段階の手順を示している。

 

 市長は、こうした手続きを踏まえて、必要な意見を述べる。任意の指導方針だが、逆に事業者が指導方針に沿った手順を、自主的に、しっかり踏めるかどうかが問われる格好でもある。同市も「これに応ずるか否かにより、事業者の環境負荷に対する姿勢が厳しく問われる」と指摘している。

 

 石炭火力発電の建設に反対している環境NGOの気候ネットワーク(KIKO)は、仙台市の方針を歓迎するとともに、今年10月に営業運転を開始した仙台パワーステーション(関西電力子会社、エネクス電力)や、現在、環境アセスメント手続き中の仙台高松発電所(四国電力、住友商事)についても、市の姿勢を重く受け止め、事業から撤退すべき、と求めている。また同様に石炭火力発電の新規建設計画が進んでいる他の自治体においても、仙台市と同様の指導方針の立案を呼びかけている。

 

http://www.city.sendai.jp/kankyochose/shise/koho/kisha/documents/shidouhoushin_1.pdf