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ロシアでの放射性同位元素「ルテニウム」高濃度検出問題、ロシアの調査チームが核施設からの漏洩を否定。「衛星の破片等の落下の可能性」に言及。西欧側は否定(RIEF)

2017-12-11 12:20:59

Ayaku1キャプチャ

 

 ロシアのウラル地方で高濃度の放射性同位元素ルテニウム106が検出され、欧州各国にも拡散した問題で、ロシアの国営原子力企業のロスアトム(Rosatom)は、これまでの調査の結果として、検出された放射能汚染は、ロシアの核施設とは無関係とした上で、「発生源は衛星かもしれない」との見解を示した。

 

写真はマヤク地方の近くで、1957年の原発事故以来、放射能で汚染された森林等への立ち入り禁止を告げ続けている看板、チェリャビンスクのオゼルスクの街の郊外の森)

 

 ロシアの官民で組織した調査チームのメンバーの一人、ロシア科学アカデミーの原子力安全機関の副局長Rafael Arutyunyan氏は「今回の問題でロシアのマヤク(Mayak)の核施設から大きな漏洩があったとの西側の推測は科学的な分析に基づいたものではない」と否定した。

 

 この問題は、ロシアの気象当局が11月下旬、ウラル地方南部チェリャビンスク(Chelyyabinsk)州マヤクの使用済み核燃料再処理施設に近い観測所で「極めて高いレベル(前月比986倍)」の放射性同位元素ルテニウム106を9月26日に検出していたと発表したのがきっかけ。フランスなど欧州のモニタリング拠点でも、健康に影響を及ぼすほどではないが、低濃度の放射性物質を検出している。

 

 マヤクでは1957年に深刻な原発事故を引き起こしていることから、欧州各国から懸念の目が向けられている。検出されたルテニウム106は原子炉で作られ、自然界には存在しない。医療用に使われることもある。

 

 ロスアトムは11月、西欧各国の指摘を受けて、同国の原子力安全機関の科学者たちによる調査チームを編成、ルテニウム106の発生源の調査を実施していた。記者会見で調査チームは、マヤクの使用済み核燃料再処理施設ではそうしたデータは検出されず、ルテニウムを製造もしていないことから、同所が発生源との説を否定した。

 

 調査を指揮したウラジーミル・ボルツノフ(Vladimir Boltunov)氏は、医学検査の結果、マヤクの核施設の職員の体に異変はなかったとした上で、「8月1日から11月30日の間、同施設で事故や問題は一切起きていなかった」と述べた。その上で、調査チームは「現段階では確実な放出源を指摘できないが、ルテニウム106を含む衛星や破片などの宇宙物体が大気圏に再突入し、発生源となった可能性を排除できない」と述べた。

 

 ロシア調査チームの「衛星説」に対して、フランス放射線防護原子力安全研究所(IRSN)は、問題の期間に衛星の部品等の落下は確認されていない」として、ロシア側の言い分を否定した。IRSNの調査では、9月27日から10月13日の間に、フランス国内で低濃度のルテニウム106が検出されたとしている。

 

 ロシヤの野党リーダーのAlexei Navalny 氏は「リチウム拡散の問題は、チェルノブイリの時を思い出させる。あの時のようになるかどうかは私にはまだわからないが、(政府の)対応は当時と同じパターンだ」と語っている。これに対して、Rosatomのスポークスマンは「ロシアの原子力産業は、他国(日本?)よりもオープンに公開している」と反論している。

 

 先週末には、ロシアの地元ジャーナリストに、マヤク周辺での現地取材が許可された。だが、外国ジャーナリストについては安全性の確認が出るまで2ヶ月間待つよう要請しているという。

 

https://www.npr.org/sections/parallels/2017/12/08/569384745/russias-nuclear-industry-tries-to-dispel-fears-over-mysterious-radioactive-cloud

http://www.afpbb.com/articles/-/3154780?cx_part=top_category&cx_position=2