HOME4.市場・運用 |日本国内の2016年度のCO2排出量、微減で3年連続減を持続。産業部門の排出増を家庭・運輸・オフィス部門の減少で相殺。計画中の石炭火力が実現すると約1割増の急増リスクも(RIEF) |

日本国内の2016年度のCO2排出量、微減で3年連続減を持続。産業部門の排出増を家庭・運輸・オフィス部門の減少で相殺。計画中の石炭火力が実現すると約1割増の急増リスクも(RIEF)

2017-12-16 13:30:38

CO2キャプチャ

 

 環境省は、2016年度の温室効果ガス排出量(速報値)を公表した。同年度の温室効果ガスの総排出量は13億2200万㌧-CO2となり、前年度比で0.2%減(300万㌧減)と、わずかだが3年連続で減少した。原発稼働が限られる中で、減少傾向が続くわけだが、2012年以降に国内で計画された石炭火力発電所がすべて稼働すると、1割近く増えるとの推計もあり、今後に課題を残している。

 

 日本の国内のCO2排出量は、2009年度以降、毎年増加を続けていた。2011年の東京電力福島第一原発事故後に、各地の原発の稼働が停止したが、2014年度に減少傾向に転じている。政府は「2020年度までに2005年度比で3.8%以上削減」との短期目標を示しているが、森林吸収分も入れると、3年連続で超過達成したことになる。

 

 エネルギー起源CO2排出量は、全体として、前年度比で0.5%減少(600万㌧減)。部門別では、産業部門で1.6%増加(700万㌧増)、エネルギー転換部門(発電所等)で7%増加(570万㌧増)となったのに対し、業務その他部門で5.2%削減(1190万㌧減)、家庭部門で2.8%削減(520万㌧減)、運輸部門で0.8%減少(180万㌧減)だった。

 

 景気の回復基調が続く中で、産業部門の排出量が増え、その増加分を業務・家庭等での排出減で一部相殺した格好だ。家庭部門では、電力消費量が増えたが、電力の排出原単位の 改善によって電力消費に伴う排出量が減少した。

 

 エネルギー起源以外の「その他のガス種」では、フロン類4ガス(Fガス)がすべて前年度比で増加した。特に、冷媒分野に使われるハイドロフルオロカーボン類(HFCs)が前年度比で10.3%増加(2005年度比で238.4%増加)と、大きく増えた。

 

 また半導体製造や液晶製造に使われるパーフルオロカーボン類(PFCs)は7 万㌧増(2.0%増)、同じく 三ふっ化窒素(NF3)も6 万㌧増(11.1%増)などと、産業用の増加が目立っている。

http://www.env.go.jp/press/files/jp/107731.pdf