HOME |環境省の12月の「環境短観(速報値)」、環境ビジネスのDIは引き続き堅調に推移。地球温暖化対策の活況続く。海外需給好調だが、企業の海外市場展開意欲高まらず(RIEF) |

環境省の12月の「環境短観(速報値)」、環境ビジネスのDIは引き続き堅調に推移。地球温暖化対策の活況続く。海外需給好調だが、企業の海外市場展開意欲高まらず(RIEF)

2017-12-29 10:51:42

econosキャプチャ

 

   環境省は半年ごとに実施する環境ビジネスの動向を調べる「12月環境短観(速報値)」を公表した。それによると、対象企業の環境ビジネスについての業況DIは「19」で6月調査時と変わらなかった。環境省は「環境ビジネスの好調さを継続している」と評価している。特に「地球温暖化防止対策」分野のDIが「25」と他の分野をしのぐ勢いを示している。

 

写真は、エコノスグループが海外で展開するカーボンオフセット事業)

 

 環境短観は正式名称「環境経済観測調査」。日銀の短観と同様に、企業に環境ビジネスの業況などについて、「良い」、「さほど良くない」、「悪い」の選択肢で質問、「良い」と「悪い」の回答割合の差をDI(Diffusion Index:単位:%ポイント)として表す方式をとっている。対象企業は、全国の資本金2000万円以上の民間企業のうち、資本金、業種別の層化無作為抽出法で選んだ1万1715社(速報値公表時点)。調査期間は11月13日~12月22日。

 

 環境ビジネスの業況感の「19」は半年前と変わらないが、対象企業全体のDIは前回より3ポイントアップの「23」で、環境ビジネスを上回った。16年12月時点では、企業全体で「15」、環境ビジネス「20」と、環境ビジネスの手堅さが目立っていた。1年後の今回は、逆転した形だ。

 

 これは、日本経済全体の基調が好調なことから、全体の景況感が環境ビジネスを上回ったもので、環境ビジネスの景況感が低下したわけではない、とみられる。逆に言うと、環境ビジネスは景気動向に取らわらず、高位安定的に推移しているといえる。

 

tankan1キャプチャ

 

 環境省は調査において、環境ビジネスを「環境汚染防止」「地球温暖化対策」「廃棄物処理・資源有効利用」「自然環境保全」の4分野に分類している。このうち、地球温暖化対策分野のDIは「25」と、半年前同様の高い水準を維持した。

 

 ついで、廃棄物処理・資源有効が「16」で、前回より2ポイントアップ、環境汚染防止は「12」で3ポイントアップ。ただ、自然環境保全は「マイナス3」と前回比7ポイントも下げた。自然環境保全が低下した背景では、環境ビジネスとしてのリターンが相対的に低いことから、景気全体の好調さが続く中で、資源配分がより高いリターンを見込める事業分野にシフトしつつある可能性がある。

 

 需給DIでは、国内需給は前回に続いてマイナス5とマイナス基調が続き、海外需給は「9」(3ポイント増)。特に地球温暖化対策は「13」(4ポイント増)で、パリ協定発効後の海外での温暖化対策ビジネスが順調に拡大しつつあることを示している。

 

 しかし、その一方で、海外でのビジネス販路を拡大するかどうかのDI(「販路拡大意向あり」-「販路拡大意向なし」)では、「マイナス47」と大きく低迷している。それでも前回に比べると7ポイントの改善だが、海外需給の好調さにもかかわらず、海外での先行きのビジネス展開に自信を持てていない状況が浮き彫りになっている。

 

 資金繰りDIは「9」で、前回より2ポイント減と、若干下げた。全体的には大きな変更はない。お金は回っているが、企業経営者の海外展開意欲がまだ高まっていない、といえそうだ。

 

http://www.env.go.jp/press/files/jp/107866.pdf