HOME5. 政策関連 |河野外相。国際再生可能エネルギー機関(IRENA)総会演説で日本の再生可能エネルギー政策を正面から批判。「国際水準にも達しない再エネ目標。嘆かわしい」(各紙) |

河野外相。国際再生可能エネルギー機関(IRENA)総会演説で日本の再生可能エネルギー政策を正面から批判。「国際水準にも達しない再エネ目標。嘆かわしい」(各紙)

2018-01-15 01:32:12

kounoキャプチャ

  各紙の報道によると、河野太郎外相はアラブ首長国連邦(UAE)のアブダビで、13~14日の間開催した国際再生可能エネルギー機関(IRENA)の総会に出席した。この中で、日本の再生可能エネルギー導入に向けた取り組みについて「国際水準にも達していない。嘆かわしい」と正面から批判する演説を行った。同時に「今後、日本は新しい思考で再生可能エネルギー外交を展開する」と訴えた。

 IRENAの総会には、世界150カ国から1100人以上の政府関係者らが集まった。日本の外相が同総会に出席したのは初めて。河野外相はこれまでも、原発政策を含むエネルギー問題に積極的に取り組んできた経験があり、日本のエネルギー問題の課題に対する持論を展開した形だ。

 河野氏がやり玉に挙げた日本のエネルギー政策の「嘆かわしい点」は、パリ協定での日本の国別約束目標で、電源に占める再エネの比率を2030年時点で22~24%とした政府のスタンス。河野氏は「再生可能エネルギーの電源割合の世界平均は現在24%。日本が目指す数値が今の世界平均ということは、日本の外相として何とも悲しく思う」と述べた。

IRENA1キャプチャ

 再エネ政策を推進するIRENAの総会で、出席閣僚が自らの国の再エネ政策を批判するのは異例。河野氏は「日本の失敗は、世界の動きを正しく理解せずに短期的なその場しのぎの対応を続けてきた結果だ」とも指摘。国内の事情を最優先した政策運営を繰り返している経済産業省と環境省の両省の政策の問題点を強調した。

 具体的な日本の再エネ政策の問題点として、再エネの固定価格買い取り制度(FIT)に伴う消費者の負担増、再エネ導入に必要な制度上の不備などにも言及した。

 日本の2030年度目標は、温室効果ガスを26%減(2013年度比)を目指すとしている。その達成に際して、再エネの電源割合について22~24%にする一方、原子力についても20~22%としている。原子力の比率を維持するため、再エネの比率に上限をかけているとの批判もある。

 安倍晋三首相は日本の目標を設定した当時、「国際的に遜色のない野心的な目標を、まとめることができた」と評価していた。しかし、グローバルな再エネ市場は、太陽光、風力とも早い技術革新のテンポから価格下落のスピードが加速しており、普及率が想定以上に上昇している。

 IRENAの事務局長、Adnan Z. Amin氏も「再エネのコスト低下は、世界的に広がっている。技術革新と投資事業の拡大により、われわれは新たなエネルギー転換の時代に、すでに入っている。再エネ市場の拡大は、経済成長のドライバーとなり、新たな雇用を生み出している」と強調した。

 河野氏は、こうしたグローバルな潮流に、日本が取り残されつつあることへの苛立ちを示した格好でもある。この際、国際的な潮流と歩調を合わせた再エネ政策を展開するには、外務省にエネルギー政策の権限を移したほうがいいかもしれない。

http://www.irena.org/newsroom/pressreleases/2018/Jan/Governments-to-Signal-Support-for-IRENA-Role-in-Energy-Transformation