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カリフォルニア州、脱原発州になることが決定。唯一稼働中のディアブロ・キャニオン原発の6年後の廃炉決まる。代替発電は再エネ発電で(RIEF)

2018-01-17 07:00:20

Californianukeキャプチャ

  米カリフォルニア州が、「脱原発」州に名乗りをあげた。現在、州内で唯一操業しているDiablo Canyon(ディアブロ・キャニオン)原子力発電所が、6年後に閉鎖されることが決定したためだ。 州の「カリフォルニア公益事業委員会(CPUC)」が「5対0」の満場一致で原発閉鎖を容認した。

 ディアブロ原発は、同州サンルイスオビスポ郡アビラ・ビーチに建設されている。ウェエスティングハウス社設計の加圧水型原子炉を備え、運用はパシフィック・アンド・エレクトリック(PG&E)社が担当している。発電容量は1100MW×2機。年間18000MWhを発電、5500kVの送電網を通じて、約170万人の州民に電力を供給している。

 しかし、原発は断層の上に建てられていることから、州内の住民団体や環境NGOから、即時停止の要求が続いていた。PG&Eは2009年11月に、原子力規制委員会に20年間の免許更新を申請した。しかし、住民らの反対に加えて、送電網への接続費用等を考慮すると、「原発電力は経済性が低い」との判断に立ち、6年後の閉鎖を決めていた。

   ディアブロ原発は1985年の操業なので、2025年が40年操業の期限となる。しかし、従来は問題がなければ20年間の延長が不文律として適用されてきた。P&GEは2016年に操業延長を求めない方針を示し、今回、CPUCも同社の方針を、委員会の全員一致で了承したわけだ。

カリフォルニア州でのディアブロ・キャニオン発電所
カリフォルニア州でのディアブロ・キャニオン発電所

 CPUCの議長のMichael Picker氏は「われわれはカリフォルニア州の原発を廃することによって、新しいエネルギーの未来に向けた方向性を示した」と述べている。同州では2012年1月に、サンオノフレ原発が蒸気発生器からの放射性物質の漏洩で停止、閉鎖されており、ディアブロは最後の稼働原発だった。

 CPUCの承認計画によると、ディアブロの2機の原発のうち、Unit1は2024年に停止、Unit2は翌2025年に停止する。いずれも連邦の許可期限が切れるタイミングで、延長申請をしない形でフェーズアウトする。ただ、全米では現在も99の原発が操業中だ。

 これまでカリフォルニア州の発電量のうち、原発による電力は全体の9.18%と約1割となっている。ディアブロ原発閉鎖によって、この1割分をどの電源でまかなうかが今後の焦点だ。

 原発支持者には、天然ガス火力発電で補完することを求める向きが多い。太陽光や風力発電の場合、日照・風況条件によって発電量が一定しないことが理由だ。原発は日本で「ベースロード電源」と呼ばれていたように、24時間安定的に発電が可能で、操業時のCO2排出量もゼロ、という利点を強調する。

 これに対して、環境グループEnvironment Californiaのロサンゼルス担当のDan Jacobson氏は「原発を廃炉にして撤去した分を、天然ガスのようなダーティーで危険な化石燃料で代替するわけにはいかない。100%クリーンな再生可能エネルギーにシフトすべきだ」と指摘している。

断層上に建設されたディアブロ・キャニオン原発
断層上に建設されたディアブロ・キャニオン原発

 環境団体は、これまでもディアブロ原発の廃止に向けた運動を長く展開してきた。このため、「脱」は原発だけでなく、化石燃料の両方からの脱却を目指すべき、との主張だ。CPUCのコミッショナーの Cliff Rechtschaffen氏は「温室効果ガス削減目標達成に向けた、われわれの強い決意を後戻りはさせない」と語っており、今後、再エネ電力の活用が有力視されている。

 PG&Eは、ディアブロ原発の停止後の廃炉作業のために、1500人の従業員を引き続き雇用し続けるとしている。これに対してCPUCは、より少ない人数と、少ない予算での原発廃炉作業とするよう求めている。

 PG&Eは当初、原発解体費用としてCPUCに3億6340万㌦を要求していた。これを、CPUCは2億2226万㌦ に減額している。同社は原子力規制機関(NRC)の免許ライセンス費用として、電力契約者から1860万㌦を得る予定だ。一方、原発閉鎖に伴って、地域自治体が失う税収入の一部肩代わりについては、PG&Eが8500万㌦の支払いを提案している。

 ディアブロの停止・廃炉化による同州の電力供給への影響について、CPUCのコミッショナーのLiane Randolph氏は「州の電力の安定供給に懸念は全くない。カリフォルニア州は原発の時代から、再エネによるゼロ・カーボンの時代に向かうことになる」としている。

 ただ、サンオノフレ原発の停止後、州内での発電量に占める天然ガス発電の比率は、2011年の45.4%から、翌2012年には61.1%と大きく割合を高めている。天然ガス火力発電による電力供給の比率は、2016年時点で49.86%となっており、今回も急激な天然ガスシフトが懸念される。

 これに対してCPUCは、サンオノフレ原発は事故による放射性物質漏れに伴い、停止⇒閉鎖となった。だが、今回は、閉鎖決定から6年間の間に徐々に代替エネルギーへのシフトを深めていくことから、よりスムーズな移行が図れるとしている。

http://www.vcstar.com/story/news/2018/01/11/regulators-ok-closure-states-last-nuclear-plant/1027231001/

http://www.cpuc.ca.gov/