HOME4.市場・運用 |太平洋の空を飛ぶ「もっとも燃費効率のいい航空会社」に、全日空が選ばれる。海南航空(中国)と同率首位。国際クリーン運輸評議会(ICCT)」が評価(RIEF) |

太平洋の空を飛ぶ「もっとも燃費効率のいい航空会社」に、全日空が選ばれる。海南航空(中国)と同率首位。国際クリーン運輸評議会(ICCT)」が評価(RIEF)

2018-01-18 23:12:36

ANA7キャプチャ

 

  航空機等のCO2排出量削減を促す「国際クリーン運輸評議会(International Council on Clean Transport:ICCT)」は太平洋航路を飛ぶ航空機のクリーン度調査(2016年実績)で、日本の全日空と中国の海南航空の2社を「もっとも燃費効率のいい航空会社」に選んだ。 

 

 調査は、太平洋を越えて、米国とアジア、豪州等を結ぶ20航空会社の直行便を対象とした。途中のハワイ、グアムの発着便(短過ぎる)や、カナダ発着便(データ非公表)は対象外。それぞれの航空便の燃費効率を、passenger-kilometers per liter of fuel (pax-km/L)という指標で評価した。1㍑当たりの燃料で1km飛ぶ間に乗客を何人運べるかを計算した。

 

 その結果、全日空と海南航空は、36pax-km/Lと、平均値より16%上回った。最も低かったのは、豪州のカンタス航空で、22pax-km/Lと、平均よりも41%低く、全日空、海南よりも64%も多くの乗客一人当たり燃料を燃やしたことになる。

 

ANA3キャプチャ

 

 「最悪航空会社」の烙印を押されたカンタスが就航させている主な航空機は、エアバスA380とボーイング747-400ER。いずれも相対的に燃費効率が悪いほか、乗客稼働率の低さも影響したとみられる。同社は燃費効率のいい最新のボーイング787の導入を急ぐ、としている。日本航空は32pax-km/Lで、ほぼ中間の10位だった。

 

 トップになった全日空と海南だが、その燃費効率アップの要因は異なる。海南は、太平洋航路就航便の81%に最新の ボーイング787を就航させていることが効果を発揮した形だ。一方の全日空はボーイング787のほか、同777-300ER等を就航させている。同社の場合、機種の性能だけでなく、貨物輸送負荷の効率性を高めたことで、全体の燃費効率が向上したと評価された。

 

 航空機の燃費効率の構成要素のうち、実は、貨物輸送のシェアがもっとも重要なウエイトを占める。全体の半分近い48%の比率だ。全日空の場合、機体の下部積載では、ハワイ航空の3倍に相当する乗客一人当たり貨物量をこなしているという。ほぼ同じ機種構成の日航と比較しても、貨物輸送シェアの効率性では、11%ポイント上回っている。

 

ANA5キャプチャ

 

 太平洋航路での燃費効率のいい航空機と、悪い航空機のギャップは、2014年に調査した米欧間の大西洋航路でのギャップよりも13%ポイント高い。これは、大西洋航路のほうがクリーン航空機に対する乗客の評価が敏感なことから、各航空会社が燃費向上に力を入れているため、との見方ができる。

 

  航空機からCO2排出量は、世界の年間排出量の2.5%を占めている。国際民間航空機関(ICAO)は各国の国際線の航空機が飛行中に排出するCO2排出量を、2020年の水準で維持する基準の導入で合意している。21年以降の増加分については排出枠の購入を各航空会社に義務づける方向だ。http://rief-jp.org/ct4/64928

 

https://www.theicct.org/