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環境NGOなど16団体、国際協力機構(JICA)によるインドネシア・インドラマユ石炭火力計画への公的資金供与停止を求める共同要請書提出(RIEF)

2018-01-19 00:00:30

indramaキャプチャ

 

 環境NGOのFOEジャパンやグリーンピースなど16団体は17日、インドネシアの西ジャワ州で計画されているインドラマユ石炭火力発電所建設・拡張計画に対して、国際協力機構(JICA)が円借款供与の増額を検討している問題で、安倍首相、河野外相、北岡JICA理事長に向けて、日本の公的資金をこれ以上供与しないよう求める要請書を提出した。

 

写真は、事業者が強行しようとするアクセス道路の工事を止めようとする農民ら)

 

 インドラマユ石炭火力計画は、インドネシア国有電力(PLN)が進めている。1000MW級の超々臨界圧石炭火力発電設備を2基建設する計画。1基だけで事業費は2億㌦に上る。事業に対してJICAは2009年度から協力準備調査を実施、これまでに日本企業等が請け負ったエンジニアリングサービスなどに円借款を供与してきた。本体事業への資金供給にも前向きとされる。

 

 しかし、同地では、すでに既存の石炭火力発電所がある。大気汚染による健康被害のほか、農業を主体とする地域住民らは農地の収用を受け、失業者が増加したり、コミュニティの亀裂に直面している。また業業で生計を立てている住民は発電所から排出される温排水の影響で、魚介量が激減するなどの被害を被っている。

 

 このため周辺住民らは「日本の税金による追加の大型石炭火力建設」に強い抗議運動を展開。住民らが日本政府に直接、支援停止を求める請願をしてきた。また同計画への環境許認可が地元政府により不当に発行されたとして住民らが提訴していた訴訟では、昨年7月、現地の行政裁判所が住民の訴えを認め、環境許認可の取り消しを言い渡す判決を出している。

 


 こうした経緯から、今回の日本の環境NGOの共同要請書では、日本政府が同事業・拡張計画に公的支援を続けるべきではない、と指摘している。その理由として、①現地での社会的合意の欠如と対立の深刻化②環境許認可発行手続きと環境アセスメントの内容等における違法性③人権状況の悪化ー基本的人権の侵害④気候変動対策に逆行する日本への国際的な批判⑤事業の妥当性への疑問ーーの5点をあげている。




 要請書は、日本政府が掲げる開発協力大綱において「開発協力の適正性確保のための原則」として、「当該国における民主化、法の支配及び基本的人権の保障をめぐる状況に十分注意を払う」ことが明記されていることを指摘。「日本政府は、地域住民が自由に反対の声をあげることができない、つまり、表現の自由など基本的人権が確保されていない状況にある事業への支援を決してすべきではない」と要請している。

 

 日本・インドネシアの国交樹立60周年の祝賀式典がインドネシアで開かれることから、自民党の二階俊博幹事長が1月20日に、安倍首相の特使として同国を訪問する予定になっているという。要請書は、「60年に及ぶ日本のインドネシアへの協力や支援がインドネシアの住民一人ひとりのニーズや意見を反映したものとなるよう、地域住民の声に真摯に耳を傾けるべき」と求めている。

 

http://www.foejapan.org/aid/jbic02/indramayu/180117.html

http://www.foejapan.org/aid/jbic02/indramayu/background.html