HOME8.温暖化・気候変動 |電子レンジなどの小型家電、意外と多いCO2排出量。地球温暖化の一因に 英研究論文が指摘(AFP) |

電子レンジなどの小型家電、意外と多いCO2排出量。地球温暖化の一因に 英研究論文が指摘(AFP)

2018-01-19 14:50:52

refキャプチャ

 

 【1月19日 AFP】電子レンジ、オーブン、電気ケトル、ヘアドライヤーなどの小型電化製品がさまざまな形で環境に害を与えているとの研究結果が18日、発表された。研究者らは、この影響を軽減するために消費者が貢献できる余地は決して小さくないとして行動を呼びかけた。

 

写真は、廃棄処分される台所用家電製品)

 

 環境科学の学術誌「サイエンス・オブ・ザ・トータル・エンバイロメント(Science of the Total Environment)」に掲載された論文によると、欧州連合(EU)では電子レンジ1億3000万台で使用される電力によって毎年770万トンの二酸化炭素(CO2)が大気中に排出されている。これは自動車約800万台の年間排出量に匹敵するという。

 

 論文の主執筆者で、英マンチェスター大学(University of Manchester)のアレハンドロ・ガジェゴ・シュミット(Alejandro Gallego-Schmid)氏は、発電に使われる燃料を考慮すると「電力消費が及ぼす影響が最も大きい」と指摘する。

 

 電子レンジに加え、電気掃除機1億5000万台、電気ケトル1億4400万台、ヘアドライヤー1億台以上と欧州だけでも膨大な数の家電製品が使われているため、そのCO2排出量は極めて重大になる。

 

 化石燃料をエネルギーミックス(電源構成)から除けば、小型家電製品に起因する排出量が大幅に削減されるのは明らかだろう。だが、これは一朝一夕では実現しない。現在、石炭と天然ガスはEUにおける発電の40%以上を占めている。世界の他地域では、この数字が約70%にも及ぶとされる。

 

 化石燃料からの移行が実現するまでの間、電力を大量消費する家電機器の環境への被害を抑えるための方法は他にもあるとガジェゴ・シュミット氏は話す。

 

 まず第一に、消費者が浪費を抑えることだ。同氏は、AFPの取材に「平均して、電気ケトルでは必要な量の1.5倍のお湯が沸かされている」ことを指摘し、「EUには、電気ケトルが約1億4400万台ある。環境への影響は非常に大きく、改善の余地もまた非常に大きい」と説明した。電子レンジで食品を調理したり温めたりする際にも大半の人々は必要な時間より長く機器を作動させているという。

 

■電力消費以外の要因も

 

 日々安価になり、より多くの機能を備えたモデルや、新しいキッチンの配色に合う製品など、次々と買い替えたくなる気持ちも抑えるべきだろう。

 

 ガジェゴ・シュミット氏によると、英国でリサイクルに出された電子レンジ100台を調べた別の研究チームの報告によると、半数がまだ正常に機能し、残りの多くも容易に修理できるものばかりだったことが分かったという。欧州では2005年、廃棄処分された電子レンジから出たごみが約18万4000トンに上った。

 

 小型家電製品のライフサイクルを考慮すると、全CO2排出量における電気使用の割合は約67%にすぎない。これ以外では、製造に関連する排出量が約25%で、部品の原料に関連するのが約6%、リサイクル関連が約1%となっている。このように、トースター、電子レンジ、ドライヤーなどの機器によって生じるCO2汚染は、電源プラグを壁のコンセントに差し込むことによってのみ発生する訳だけではないと、論文は指摘する。

 

 こうしたデータから見えてくるのは、「製造、輸送、耐用年数を経た廃棄物の管理などの各分野において改善の余地があるということだ」とガジェゴ・シュミット氏は話した。

 

http://www.afpbb.com/articles/-/3159149?cx_part=top_category&cx_position=1