HOME |2017年の世界のクリーンエネルギー投資総額、前年比3%増の3335億㌦に。中国市場が全体の4割を占め、日本市場は影薄く。BNEFの調べ(RIEF) |

2017年の世界のクリーンエネルギー投資総額、前年比3%増の3335億㌦に。中国市場が全体の4割を占め、日本市場は影薄く。BNEFの調べ(RIEF)

2018-01-22 07:13:58

BNEF2キャプチャ

 

 昨年のグローバル市場でのクリーンエネルギー投資額は前年より3%多い、3335億㌦(約37兆7000億円)に達した。Bloomberg New Energy Finance(BNEF)が再生可能エネルギー、省エネルギーの両投資額を集計した。投資総額は過去最高だった2015年に次ぐ2番目だったが、太陽光、風力などの再エネコスト低下によって総額が引き下げられた面があり、BNEFではクリーンエネルギー投資は引き続き堅調とみている。

 

 BNEFによると、投資規模が最も大きかったのは太陽光発電事業。1608億㌦と全体のほぼ半分を占めた。続いて風力発電が3割強の1072億㌦。投資総額は過去最高額の3603億㌦を記録した2015年よりは7%少ないが、4年連続で3000億㌦台を維持した。2010年以降の累計投資額は2.5兆㌦(約282兆円)に達する。

 

 太陽光発電事業のうち、半分以上の865億㌦は中国市場での投資だった。風力等他の投資も含めると、中国全体のクリーンエネルギー投資額は1326億㌦で前年比24%増の高い成長をみせた。太陽光パネル等のコスト低下が進む中での投資総額の急増で、中国向け投資は、グローバル投資総額のほぼ4割を占めた。

 

BNEF1キャプチャ

 

 BNEFのアジア太平洋地区担当のJustin Wu氏は「中国では、我々の予想より20GWも多い太陽光発電事業が昨年中に建設された」と、”誤算”を認めている。誤算の理由の一つは、中国の国内市場では過剰投資を防ぐため、補助金の減額や電力使用抑制などの措置がとられたが、産業界の圧力を受ける形で、電力事業の規制当局が、政府の許認可配分外の大規模再エネ事業等の建設を容認したという。

 

 また、太陽光についてはパネルコストの低下から、規制対象外の家庭の屋根へや、商業施設、工業団地などでの太陽光発電が広がったことも、全体の市場規模を引き上げる要因になった。家庭向けなどや自家消費型などのクリーンエネルギー投資は、引き続き旺盛な需要があるという。

 

 太陽光発電設備は2年前に比べて、MW当たりの発電コストは25%も低くなっているという。中国市場では、こうした価格低下の影響が、投資意欲を高める形だ。これに対して日本市場では、太陽光発電のコストも、欧米より2倍ほど高いとされ、グローバルな再エネ投資コスト低下の影響が反映していない。

 

 地域別にみると、中国以外で投資総額が好調なのは、オーストラリアが150%増の90億㌦、メキシコの場合は516%増の62億㌦と急成長が目立つ。日本市場は2012年にFITを導入した当初こそ、世界から成長ぶりが注目された。だが、昨年は、英国、ドイツとともに、投資総額の低下が顕著な国に数えられている。

 

 米国はトランプ政権になって、石炭など化石燃料産業を支援する政策を打ち出している。一方で、クリーンエネルギー投資への意欲も継続しており、投資総額は中国に次いで多い569億㌦を記録した。

 

 10億㌦以上の投資総額のある国で伸び率が著しかったのは、UAE(22億㌦、約23倍)、アルゼンチン(18億㌦、777%増)、エジプト(26億㌦、495%増)など、これまでクリーンエネルギーに力を入れていなかった国々での急増が目に付く。

 

 反対に、前年比で低下率が大きかったのはインド(11億㌦、20%減)、ノルウェー(20億㌦、12%減)、スイス(17億㌦、10%減)、スウェーデン(109%増)、トルコ(23億㌦、8%減)などとなっている。

 

 また、スマートメーターやリチウム電池などの蓄電池の設置増が進行していることから、スマート・エネルギー技術向けの投融資(アセット・ファイナンス)が前年比36%増の216億㌦になったほか、企業のR&D(研究開発)投資額も11%増の221億㌦と堅調だった。ただ、クリーンエネルギー分野のベンチャーキャピタルとプライベート・エクイティの投資額は38%減の41億㌦にとどまり、2005年以来、もっとも低調な投資額にとどまった。

 

https://about.bnef.com/new-energy-outlook/