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三井造船 富山沖で洋上風力発電事業を実施へ。風車4基で7500kWの出力。2020年度事業開始。事業費50億円(各紙)

2018-01-22 11:07:21

mitsuizousen1キャプチャ

 

 各紙の報道によると、三井造船が富山県沖に着床式の洋上風力発電事業を展開する。海岸から約800mの地点に、4基の風車を建設、総発電容量は7500kW。地銀や風力発電事業者などと共同出資で運営会社を設立、2020年度に操業開始の予定。総事業費は約50億円。民間企業による着床式洋上風力の事業化は、初めてという。

 

写真は、陸上で製作した風車をクレーン運搬船で現場まで運ぶ様子)

 

日刊工業新聞が報じた。風車が建設されるのは富山県入善町の沖合。水深約15mの海底に、1基の出力2000kWの風車を4基、設置する。事業は、三井造船がEPC(設計・調達・建設)を請け負い、風車は日立製作所製。

 

 三井造船は発電所を運営するプロジェクト会社に出資し、発電事業に直接参画する。風車の設置海域は一般海域に相当する。海域調査や地元との合意、許認可取得を今年度中に終え、2018年度から約2年かけて工事を完了する予定。

 

 事業では、三井造船が建造した港湾用クレーン運搬船を改良し、陸地で製作した風車を沖合に運び、据え付ける。これにより、天候や海洋条件に左右され易い海上での作業日数が大幅に短縮でき、結果的にコスト削減が可能になる。この据え付け工法は同社が独自開発した。

 

 発電した電力は固定価格買取制度(FIT)を通じて北陸電力に20年間販売する。一般家庭5000世帯分の発電が可能。日本は四方を海に囲まれていることから、洋上風力は有力な発電可能性が期待されている。ただ、工事コストや海域の漁業権との調整などで、開発が進んでいない。このため政府は、海域占用ルールなど制度整備を進めている。

 

福島沖での浮体式風力発電事業の様子
福島沖での浮体式風力発電事業の様子

 

 これまで、着床式の洋上風力発電事業は、千葉県銚子沖や北九州市沖で実証研究が進められている。浮体式の風力発電事業では、戸田建設が長崎・五島沖で実証事業を実施している。三井造船も福島県沖で、2MWの浮体式発電設備1基を使った実証実験を継続中だ。

 

 現行のFIT制度では洋上風力発電の調達価格は1kW時当たり36円で、太陽光など他の再生可能エネルギー電源に比べて割高な価格に設定されている。しかし、発電コストは開発の進んでいる欧州に比べると数倍は高いとされる。今回の三井造船の事業では、設置工法を工夫することで、コスト削減を進め、事業化のめどをつけた形だ。

 

https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00458729?isReadConfirmed=true