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太陽光発電の買取価格、2018年度から1kW時当たり18円へ。FITの当初価格の半分以下に。中小事業者の淘汰さらに進む(各紙)

2018-02-08 08:27:03

solarキャプチャ

 各紙の報道によると、経済産業省は再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)で、2018年度の太陽光発電(産業用)の価格を現在の1kW時当たり21円から3円下げて、同18円とすることを決めた。2012年のFIT導入時の40円に比べると半額以下となる。

 経産省の「調達価格等算定委員会」で有識者の委員長が7日、価格案を示した。今回の委員会方針を受けてパブリックコメントの手続きを経て、経産相が正式に承認する。ただ、基本的な変更はない模様。

 太陽光発電の中心となる出力10kw以上の産業用は価格を同18円に下げる。4月から新価格を適用する。引き下げの理由について同省では、2017年の10kW以上の太陽光発電のシステム費用が、前年よりkW当たり1.6万円下がって全体平均値で30.0万円/kWとなるなど、費用削減が進んでいると指摘している。

 システム価格の低い順から、上位25%の値を採用する「トップランナー分析」でも、2017年度は政府の想定値である24.4万円/kWを下回る22.1万円/kWとなった。

 日本は海外に比べて、太陽光発電の費用が高止まりしている。中東やメキシコなどでは、1kW時当たり2㌣(約2円)割れの入札も起きている。欧米でも5~10円程度のところが多い。日本の買取価格は高値といえる。経産省は今後数年かけて10円前後へ引き下げる方針だ。

 一方、国内の太陽光発電事業者は相次ぐ買取価格の引き下げで採算がとれず、2017年の事業者の倒産件数、負債総額は過去最大の88件、総額285億円。経産省の再エネ政策の有効性が問われている。http://rief-jp.org/ct4/75927

 経産省は今回の買取価格引き下げで、事業者に対して、低い買い取り価格でも採算が取れるよう競争を促す方針、としている。中小事業者はさらに市場から退出を迫られることになる。

  昨年4月から2000kW以上の大規模太陽光発電からの買い取りでは、上限価格を定めた入札制を導入している。ただ、昨年実施した入札では十分な応札がなく、十分に機能していないとされる。

 10kW未満の住宅用太陽光発電については、すでに2019年度までの価格を決定している。2017年度は28円(一部地域は30円)、19年度には24円(同26円)となる予定だ。

 太陽光の買い取り費用は一般消費者などの電気料金に上乗せされる。消費者の負担は増しており、経産省は買い取り価格を抑えることで影響を軽くしたい考えだ。

 太陽光発電を検討する事業者は、20円弱の価格でも利益が出せる経営が求められる。発電効率の高い太陽光パネルの活用や、IT(情報技術)などを利用した保守管理の効率化に取り組む必要がある。

https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180208&ng=DGKKZO26637710X00C18A2EE8000