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ブリヂストン 天然ゴムの持続可能な調達を進めるため「グローバル・サステナブル調達ポリシー」を制定。東南アジア等での森林破壊防止に歯止めを宣言(RIEF)

2018-02-12 18:05:46

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 ブリヂストンは、タイヤの主原料である天然ゴムの持続可能な調達を重視するため、新たな「グローバルサステナブル調達ポリシー」を策定した。天然ゴムの世界生産の70%を占める東南アジアで、ゴム農園の開発が森林破壊を増長するとの懸念が示されており、2016年ミシュラン社、2017年ピレリ社に次いで、世界最大のタイヤ―メーカーであるブリヂストンも調達ポリシーにサステナビリティの考え方を盛り込んだ。

 

 新調達ポリシーの公表に際して、同社CEO兼会長の津谷正明氏は「われわれの関係する業界が自然や世界中の地域社会とより良い形で共存していくために、われわれには変革と改善を推進する責任と実行力があると考えている。持続可能なサプライチェーンの実現に向けて、不断の努力をし、業界関係者の全ての皆様と必要な協働を行い、社会の皆様に広くご理解頂けるようコミュニケーションを図っていく」とのコメントを発表した。

 

 同社はグループのグローバルCSR体系として「Our Way to Serve」を掲げている。今回の調達ポリシーは、同CSR体系で2050年に向けた環境長期目標としている「100%サステナブルマテリアル化」の達成に貢献するものとして位置付けた。また、これまで社内で複数に分かれていた調達ガイドライン類を、今回のポリシーに一本化した。

 

整然と整備された天然ゴム農園
整然と整備された天然ゴム農園

 ポリシーは、①透明性②コンプライアンス③QCD(品質、コスト、供給)&イノベーション④持続可能な調達活動、の4項目に焦点をあてている。

 

 ①の「透明性」は、調達に関わるトレーサビリティーの向上と、優れたガバナンス体制の構築を目指すとしている。②の「コンプライアンス」では、同社グループ企業が、事業を展開する国及び地域で適用される全ての法律と規制を遵守することを宣言している。

 

 ③の「QCD(品質、コスト、供給)&イノベーション」においては、高品質の製品とサービスをタイムリーかつ適切な価格で供給するとともに、国際社会の発展に寄与する革新的なテクノロジーを追求するとしている。④の「持続可能な調達活動」では、環境に対する責任を果たす調達活動のほか、環境関連法令の遵守、人権の尊重、適正な土地利用、健康と安全の確保、災害予防やレジリエンス(変化に対処する能力)に関するベストプラクティス等を組み込むべき、などとしている。

 

 ブリヂストンは、同社がグローバルに展開している地域に今回の方針を徹底させるため、調達ポリシーを12の言語に翻訳し、従業員、取引先、顧客、その他の業界専門家等に理解を広げていく。さらにその後、1年半かけて、理解が進んだかどうかの検証活動も行う予定だ。

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 また、天然ゴムのトレーサビリティーに関する追加のアセスメント手法の開発を行っていることも明らかにした。それらの手法を使って、調達コンプライアンスのモニタリングを実現する方向で、関係業界や専門家との共同活動を展開すると表明した。

 

 ブリヂストンの新調達ポリシーの公表に対して、東南アジアでの森林開発問題に取り組んできた環境NGOのWWFジャパンは「ブリヂストン社の新しい調達方針を歓迎する」との声明を出した。

 

 WWFは「ブリヂストン社の方針は、森林破壊ゼロや泥炭地の開発ゼロから人権保護や土地所有権の尊重まで、WWFが求めてきたコミットメントが含まれている。この方針が農場から工場までサプライチェーン全体で履行されれば、東南アジアや西アフリカなどの地域において環境と人権の保護を大きく推進するものとなる」と高い評価を加えている。

 

 そのうえで、こうしたポリシーが着実に実行されることを確かにするため、第三者による監査と苦情処理システムの設置を求めている。また、天然ゴム資源の問題はタイヤメーカーだけでなく、最大のユーザーである自動車業界や運輸業界、タイヤ販売店も含めて、持続可能な天然ゴムの調達方針を明確にするよう要請している。

https://www.bridgestone.co.jp/corporate/news/2018020601.html

https://www.wwf.or.jp/activities/2018/02/1403006.html