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大林組 ニュージーランドで地熱電力を利用したCO2フリー水素製造・流通システム構築で、現地企業と共同研究の覚書締結(RIEF)

2018-02-15 16:49:13

ohbayahiキャプチャ

 

 大林組は、ニュージーランドのTuaropaki Trust(トゥアロパキ・トラスト)社と、地熱電力を利用したCO2フリー水素製造・流通の共同研究に関する覚書を締結した、と発表した。トゥアロパキ社は先住民マオリの地権者をオーナーとする信託会社で、国内有数規模の地熱発電所を開発、操業している。

 

写真は、覚書にサインするTuaropaki Trust社長(左)と大林組社長の白石)

 

 今回の共同研究では、ニュージーランドにおいて、トゥアロパキ社が開発した地熱発電の電力を利用して、年間100㌧ほどの水素を製造し、その貯蔵、運搬、さらに需要先の開拓といった各段階を、共同で研究・実証して、市場化に向けた取り組みを進める。地熱電力を利用することで製造される水素はCO2フリーとなる。

 

 今回、年間製造する約100㌧の水素は、燃料電池自動車(FCV)に換算すると、FCVは水素1kgで約100kmの走行が可能となることから、一台のFCVが年間10000km走行すると想定すると、約1000台分の年間燃料をCO2フリーで確保できることになる。

 

  大林組はこれまでも大林組技術研究所(東京・清瀬市)で再生可能エネルギーを利用してCO2フリー水素を製造する水素エネルギーシステムの構築や、水素を燃料とした熱電供給システムの実証性を検証する神戸市での「水素CGS活用スマートコミュニティ技術開発事業」に参画するなど、将来の水素利活用に向けた技術開発を行っている。

 

トゥアロパキ社傘下の地熱発電所
         トゥアロパキ社傘下の地熱発電所

 

 同社は2016年4月にニュージーランドの地熱調査会社MB Century 社と地熱発電に関する相互協力協定を結んで、地熱電力利用に向けた研究を積み重ねてきた。トゥアロパキ社はMB社の親会社であり、傘下に地熱発電子会社(発電能力113MW)を持つことから、トゥアロパキ社全体と連携して、地熱電力を利用したCO2フリー水素製造および流通の事業可能性を実証することになった。

 

 今回の共同研究を踏まえて、将来、ニュージーランドと日本の両方の市場で、CO2フリー水素関連事業を展開するためのノウハウを蓄積し、事業化を目指すことになる。日本も地熱資源が豊富にあるほか、水素エネルギーの活用については政府が力を入れており、発電から販売までを一環してシステム化することで、コスト削減と安定的な水素利用に資する知見を得ることを目指していく。

 

 トゥアロパキ社はニュージーランドの先住民マオリの地権者2,343人をオーナーとする信託会社で、2017年現在の運用資産残高は約800億円にのぼる。持続可能な資源利用を重視した国内有数規模の地熱発電所を開発し、これまで17年間にわたり安定的に運転してきた。地熱発電の電力や、蒸気、排熱は、近隣の乳製品加工や温室栽培などのアグリビジネスに活用している。

http://www.obayashi.co.jp/press/news20180205_01