HOME |WWFジャパン、企業の温暖化対策ランキング「建設・不動産業界」編を公表。1位積水ハウス、2位戸田建設。建設業と不動産業で「差」が目立つ(RIEF) |

WWFジャパン、企業の温暖化対策ランキング「建設・不動産業界」編を公表。1位積水ハウス、2位戸田建設。建設業と不動産業で「差」が目立つ(RIEF)

2018-02-27 07:19:47

WWF3キャプチャ

 

  環境NGOのWWFジャパンは、「企業の温暖化対策ランキング」プロジェクトの第6弾として建設・不動産業を対象とした報告書を発表した。各企業の温暖化対策を点数化したもので、1位は積水ハウス(85.5点)。2位戸田建設の順。偏差値60以上の上位にランクインした企業は8社で、これまでの調査業種の中では電気機器に次ぐ高スコアだった。

 

 WWFジャパンは2014年以降、業種を絞った「企業の温暖化対策ランキング」を実施、これまでに5回にわたり業種別調査報告書を公表してきた。今回の建設・不動産業では、対象34社のうち、2017年に環境報告書類を発行している25社の温暖化防止の取り組みを評価した。

 

 日本が官民一体で、CO2の排出を正味ゼロにするネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)やネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)の製品(住宅・ビル等)を通じた削減の取り組み評価のほか、企業自らの排出削減への取り組みもウェートを高めて、評価を実施した。

 

 評価は、各社が発行した環境報告書やCSR報告書などを基に情報を収集し、温暖化対策の取り組みを主に実効性の観点から評価した。採点では、企業として温暖化対策の目標を設定し、その実績を評価・分析しているかを問う「目標および実績」と、取り組みの状況や進捗などに関する情報開示を行なっているかを問う「情報開示」の2つの観点から、21の指標を設け、評価した。

 

WWF2キャプチャ

 

 重要7指標は①長期的なビジョン②削減量の単位③省エネルギー目標④再生可能エネルギー目標⑤総量削減目標の難易度⑥ライフサイクル全体での排出量把握・開示⑦第3者による評価――。

 

 評価の結果、平均点は、47.2点で、これまで調査した業種(「電気機器」48.7点、「輸送用機器」46.7点、「食料品」44.8点、「小売業・卸売業」34.1点、「金融・保険業」34.9点)の中では、電気機器に次いで高い点数となった。

 

 今回の調査では、上位8社を「建設業」が占めた。これら上位8社は、全21指標のうち、特に重要な7指標において、「長期的なビジョン」、「削減量の単位」、「目標の難易度」、「ライフサイクル全体での排出量の見える化」、「第3者による評価」の5つの指標で高評価となり、第2、第3グループとの間で大きな差が生じた。

 

 反対に「不動産業」の多くは下位となった。建設業だけでの平均点は56.1点。これに対して、不動産業は31.4点で、両業種には大きな差があることがわかった。WWFジャパンは「(不動産業は)長期的な視点が乏しく、ライフサイクル全体を通じた取り組みも不十分。さらに温室効果ガスの削減目標を持っている企業も少ない」と厳しく指摘している。

 

WWF1キャプチャ

 

 実際、不動産業で環境報告書類を発行しているのは15社中9社だけ。「環境コミュニケーションが不足している」(WWF)。また総量でのCO2削減目標(あるいは省エネ目標)を設定している企業はわずか1社だけだった。

 

 またパリ協定と整合した長期的なビジョンを描き、科学的な知見に基づいた長期削減目標「SBT(Science Based Targets)」を掲げている企業の割合が、25社中6社(24%)と多かった。過去最高だった電気機器業界(11%)の倍以上、食料品(4%)の6倍になった。

 

 業種全体では、自社の温室効果ガスの排出量データに対し、第3者機関による検証を受けている企業の割合は40%(25社中10社)と、これまでの調査業種で最大比率となった。建設・不動産業では、排出量データの信頼性を高める取り組みが進んでいることが裏付けられた。

 

 再生可能エネルギー発電を、自社での活用目標を設定していたのは、積水ハウスだけ。自社で活用している再エネの定量的なデータを一部でも開示していた企業の割合は32%(25社中8社)。他の調査業種と比べても、非常に低い結果となった。積水ハウスも、実績値のデータは開示していない。

https://www.wwf.or.jp/activities/data/20180223_climate01.pdf