東電福島第一原発事故。政府が進める避難指示解除区域の放射線汚染、国際基準や政府の長期目標をはるかに上回る。グリーンピース最新放射線調査報告書で判明。「帰還促進は人権侵害」(RIEF)
2018-03-02 13:13:29
●飯舘村(避難指示解除区域)
・民家6軒のうち4軒では、除染完了後も、政府の除染基準(毎時0.23マイクロシーベルト)の3倍の放射線レベルが計測された。いくつかのエリアでは、放射線量が2016年より増加しており、周囲の森に蓄えられた放射性物質の移動など再汚染の可能性が考えられる。
・南部の民家で、政府の除染基準(毎時0.23マイクロシーベルト)を達成するのは、今世紀半ばごろと推定される。
●浪江町(避難指示解除区域)
・市街地の小学校周辺でも除染で十分に放射線量を下げることはできていない。小学校の向かいの森では、平均値毎時2マイクロシーベルト、最大毎時5マイクロシーベルトのホットスポットがあり、児童へのリスクが懸念される。
●浪江町 (帰還困難区域)
・2011年から2012年大規模なモデル除染の対象となった津島地区の民家では、最大値毎時5.8マイクロシーベルト、平均値毎時1.3マイクロシーベルトだった。これは除染の効果が非常に限定的であったことを示している。
・これらの地域で、毎時0.23マイクロシーベルトを達成するのは、来世紀に入ってからと推定される。
これらの調査を受けて、グリーンピースでは、浪江町の津島、室原、末森、大堀地区に政府が設定した「復興拠点」について、2023年3月までの避難指示解除を目指す計画は、住民を放射線リスクからまも
る観点から正当化できず、撤回すべきだ、と指摘している、またこの「復興拠点」計画のため、除染作業にあたる作業員の被爆が懸念されるとも述べている。
また政府が、飯舘村村民への応急仮設住宅の供与期間終了を当初の2018年3月から1年延長するなどの措置を講じたのは、帰還政策の破綻を認めたものにもかかわらず、 避難指示区域外からのいわゆる「自主避難者」に対しては、2017年3月に住宅支援を打ち切っており、自主批判者は仮設住宅や公営住宅からの立ち退きを迫られ、立ち退き訴訟まで起きている状況に置かれており、極めて不当だと批判している。
国連人権理事会の作業部会では、こうした日本政府の強引な早期帰還政策に対して、ドイツ、オーストリア、ポルトガル、メキシコの各国が、被害者の人権を守ることを求める複数の勧告を出している。日本政府は16日の国連人権理事会本会合で、勧告の受け入れ可否の表明を迫られている。
調査プロジェクトのリーダー、グリーンピース・ベルギーのヤン・ヴァンダ・プッタ氏は「除染が完了した飯舘村や、モデル除染が行われた浪江町の民家での調査結果から、浪江町帰還困難区域の放射線レベルが今後、劇的に下がるとは考えられない。除染の効果が非常に限定的になることが見込まれるにもかかわらず、2023年にこの地域の避難指示を解除することは、除染作業員への被ばくを含め、放射線防護の観点から容認できない。今回調査した地域の放射線リスクは、飯館村南部の民家では胸部レントゲンを毎週、浪江町津島地区の民家では3.3日ごとに受けるのと同等」と指摘している。
http://www.greenpeace.org/japan/ja/news/press/2018/pr20180301/
http://www.greenpeace.org/japan/Global/japan/pdf/RefFksm_JP.pdf