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国連・緑の気候基金(GCF)2018年の新規支援事業23件、総額10億㌦台を承認。先住民族の生活配慮、環境社会政策も盛り込む(RIEF)

2018-03-05 08:30:07

GCF3キャプチャ

 

 国連の「 Green Climate Fund(緑の気候基金:GCF)」は2018年の理事会を開催、途上国での新たな温暖化対策プロジェクト、23件に総額10億9350万㌦の資金供給を行うことを決めた。同時に、途上国がGCFのファイナンスにアクセスを支援する準備プログラムにも6000万㌦を配分する。

 

 GCFが一度のファイナンス承認で総額10億㌦を上回る決定をしたのは今回が初めて。今回の新規ファイナンス案件を含めると、GCF全体の事業ポートフォリオは、76プロジェクト、総額37億3020億㌦に達する。

 

 理事会は、新たな共同議長として、スウェーデンの外交官 Lennart Båge、ニカラグアの政治家 Paul Oquistの両氏を承認した。Båge氏は先進国代表、Oquist氏は途上国代表の立場となる。事務局長はオーストラリア出身の外交官、Howard Bamsey氏が2017年1月から続けている。

 

GCFの共同議長に決まスウェーデンの Lennart Båge氏(右)と、ニカラグアの Paul Oquist 氏
GCFの共同議長に決まスウェーデンの Lennart Båge氏(右)と、ニカラグアの Paul Oquist 氏

 

 GCFのオペレーション改善・強化策として、途上国の先住民の生活に配慮する「Indigenous Peoples Policy:IPP」や「環境・社会政策:ESP」などの採用を決めた。

 

 理事会が承認したプロジェクトの大半は、途上国が温暖化対策として実施する再生可能エネルギー事業などの回避策、気候変動の影響へ対応する適応策など。

 

 共同議長に就任したPaul Oquist氏は「10億㌦の追加資金供与は過去の理事会での決定ではない規模。各事業は気候変動にチャレンジするうえで真のインパクトを持つだろう」と強調した。

 


 もう一人の共同議長の Lennart Båge氏は「気候変動に対する真摯な貢献を表明することができた。特に、IPPとEPPの採択は、GCFの政策フレームワークを達成するうえでの重要なステップ」と指摘した。

 

GCF理事会の模様
GCF理事会の模様

 

 承認されたプロジェクトの主なものとして、例えば、国連の食糧農業機関(FAO)とパラグアイ政府が、東パラグアイで進めている持続可能な森林管理プログラムがある。同プログラムは森林の損失の減少と周辺の先住民1万7000世帯の生活の質向上を支援する計画がある。GCFは2500万㌦を支出する。

 

 また水不足が深刻な中米のグレナダ、バルバドスでの水資源確保対策、ブラジルでの都市の省エネ化促進、インドの住宅用の屋根置き型太陽光発電システムの普及、バングラデシュのクリーン・クッキング・プログラム、北ルワンダの農村コミュニティの温暖化の影響対策などの各事業が、盛り込まれている。

 

  ただ、今回の理事会は、サウジアラビア、エジプト、キューバの3カ国から、男女平等、社会的包摂などのテーマの扱いをめぐって異論が出され、政策決定が遅れるなど、先進国対途上国の対立とは別に、社会的価値観の対立が表面化する場面もあったという。また、基金への拠出額について、米国は最大の30億㌦を約束したが、これまでの拠出はオバマ政権時代の10億㌦だけで止まっている。

 

https://www.greenclimate.fund/-/gcf-board-approves-over-usd-1-billion-in-funding-for-climate-mitigation-and-adaptation?inheritRedirect=true&redirect=%2Fhome