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トヨタ、ホンダなど大手11社、水素ステーション全国配備に向け、共同会社を設立。2021年度までに80カ所で新規建設。電気自動車インフラと重複投資にならないか(RIEF)

2018-03-05 19:27:02

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 トヨタ自動車、本田技研工業など11社は5日、燃料電池自動車(FCV)向け水素ステーション事業の新会社「日本水素ステーションネットワーク(JHyM:ジェイハイム)」を設立した。2021年度までに全国約80カ所のステーション建設を目指す。国も補助金で支援する。官民一体で基盤整備を進め、FCVの普及拡大を目指す。ただ、グローバルな電気自動車(EV)化の動きとの整合性は不明だ。

 

  JHyMは国の再生可能エネルギー・水素等関係閣僚会議「水素基本戦略」において、水素ステーション整備の推進役と位置づけられている。自動車メーカーのほか、エネルギー・ガス会社、商社、金融の各分野の11社が集結した。新会社の社長にはトヨタの菅原英喜氏が就任した。

 

 参加企業は、トヨタ、ホンダのほか、日産自動車、JXTGエネルギー、出光興産、岩谷産業、東京ガス、東邦ガス、日本エア・リキード、豊田通商、日本政策投資銀行。

 

 事業計画では、水素・燃料電池戦略協議会が示した「水素・燃料電池戦略ロードマップ」の官民目標(2020年度までに水素ステーション160箇所程度の整備、FCVの4万台程度の普及など)を踏まえ、全体の事業計画期間を10年と想定している。そのうち、第1期として2021年度までの4年間に約80カ所に水素ステーション整備する。

 

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 その後も段階的にステーションを拡大していく計画だ。菅原英喜社長は「規制の見直しや機器の標準化でコストダウンを進めていく」とし、現在、ステーション1カ所当たり4~5億円とされる建設費を、20年までには半減することを目指す。

 

 現在、水素ステーションは全国101カ所(建設・計画中を含む)ある。ただ、FCVの保有台数は2000台程度で、ステーション事業の採算は取れていない。各社でステーションを建設しても採算が取れないことから普及が進まない、という悪循環に陥っているとの指摘もある。そこで共同で建設、運営、投資等の役割を分担、コスト削減と運営の効率化を高めることを目指す。

 

菅原英喜社長
菅原英喜社長

 

 各社の役割分担として、インフラ事業者は、水素ステーション整備のため投資・建設コストを負担するが、金融投資家の出資を受けて、初期投資軽減のメリットを受ける。自動車メーカーは、JHyMを通じてインフラ事業者にステーションの運営を業務委託する。国も、ステーション整備、運営の両面において補助金供給等で負担を軽減する。経済産業省はステーションの建設費用の半分程度を補助金で支援し、さらなる規制緩和も進める、としている。

 

 金融投資家は、ステーション事業の自立化までに必要な資金を拠出することで、インフラ事業者だけでなく、ステーション事業への新規参入事業者の参画を促す、という。ただ、懸念点も残る。

 

 ガソリン車、ディーゼル車の先に来る次世代の自動車をめぐっては、欧州や中国等はEVを最優先している。日本と同様のFCV派は少数派とみられている。今回の11社の中でも、日産自動車はグローバル戦略としてはEVの推進を掲げている。

 

トヨタのFCV「ミライ」
トヨタのFCV車MIRAI「ミライ」

 

 日本市場で、EVとFCVのインフラ整備が併存していくのか。あるいは、かつての電気製品の薄型テレビやビデオで起きたように、いずれはどちらかが淘汰されるのか。水素ステーションは、電気製品よりも規模の大きい設備投資となるだけに、「技術」と「需要」の見極めのバランスを欠かかないようにしてもらいたい。

https://newsroom.toyota.co.jp/jp/corporate/21322338.html

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